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アフリカの民話
タンザニアを中心に


タンザニアでは、昔話は今でも本で読むものではなく、誰かが語るのを聞くもの。だから、必ず語り手と聞き手の掛け合いで始まります。
その合い言葉は地方によって違いがありますが、一般的なのは、語り手が「パウクァー」と呼びかけ聞き手が「パカワー」と応えてから話し始めるパターン。意味は、「お話始めるけど、準備はいいかい?」「準備は万端、楽しいお話聞かせてね」といったところのようですが、お話を語るとき以外は使われません。



アフリカの民話15 なぞなぞ姫(2003.7.3)

パウカー(お話始めるよ)
パカワー(はーい)

ザマニ ザ カレ(むかしむかし)、あるところに、キタンダウィリ(なぞなぞ)が大好きな姫がいました。

姫ももう年頃になったので、王様が婿をとらせようとしたのですが、姫は結婚する条件として、こう言いました。
「ねえ、お父様、私は自分よりなぞなぞの強い人でなくては絶対結婚しませんことよ」

王様は、この姫が一番かわいかったので、仕方なく姫の言うことを聞いて、国中にこんなお触れを出しました。
「姫になぞなぞで勝った者には姫と結婚する権利を与える。ただし、負けた者はその場で首を切る」

なぞなぞで勝てば、美しい姫と結婚できて自分が王子になれると知って、翌日から城は国中のなぞなぞ自慢でいっぱいになりました。

しかし、姫はなかなか手ごわく、次々になぞなぞ自慢を破っていくので、広い城の庭には死体を置ききれなくなり、そのうち姫に負けて殺された男の死体は、裏門から投げ捨てられるようになり、城の裏は男たちの死体を食い荒らす野犬と烏がいつも待っているようになりました。

その日も、姫との結婚を夢見る男が、とっておきのなぞなぞを携えてやってきて、姫になぞなぞを挑みました。
姫、まいりますぞ。ドアのない家とは、これいかに」

姫は軽く答えました。
「ほっほっほっ、そんなもの卵にきまっておるでしょう。そんななぞなぞ三つの子にでも答えられるわ。それでは、今度は私からまいりますぞ。これに答えられなければお前の命はないということを心してお答えなされ。狭い部屋に人がいっぱいとはこれいかに」

男は冷や汗を流して必死で考えました。
「む、むむむむむ・・・わ、わかった。答えはほうきだ」
「ばかめ、ほうきは部屋の中に入っておらぬわ。答えはマッチじゃ
「うーむ、やられた」
そうやって男は殺されて、城の裏に捨てられてしまうのでした。

この国の一番端に、国で一番貧しいボゼという若者が住んでいました。

ボゼはうまれてすぐに両親がマラリアで死んで、母方の祖母に引きとられて暮らしていましたが、身寄りも仕事もない祖母との暮らしは、それはそれは貧しくて、三日に一度食事にありつけるかどうかというような暮らしでした。

ボゼは、城で行なわれている姫とのなぞなぞ勝負に、自分も出ることを決意して、祖母に言いました。
なあ、ばあちゃん、俺は城に行って、姫のなぞなぞに挑戦してくるよ。そして、なぞなぞに勝って、姫を嫁さんにして、金持ちになってばあちゃんに楽をさせてやるよ」

祖母はそれを聞くと、泣いてとめました。
「そんなばかなこと考えるのはおよし。城ではもう何百人もの男たちが姫のなぞなぞに負けて、首を切られているというじゃないか。ねえ、このまま貧乏暮らしでも構わないから、城なんか行かないでおくれ。お前まで死んでしまったら、わたしは生きていかれないよ」

それでもボゼは、
「このまま生きていたって、いつかは飢え死にしてしまう。それなら一か八か、勝負してくるよ」
と明るく言って、家を出て行きました。

ボゼは、家を出たものの、もちろん食べ物を買う金などありません。
三日目に、森でライオンを殺し、血を飲み、肉を食べました。そのとき、殺したライオンの腹に、人間の子が入っていました。

ボザは、
「これだけ腹が減ってりゃ、人間の子を食うのも仕方ないさ」
と思ったのですが、アラーの定めるハラーム(イスラム教徒の禁止事項)になるかどうかわからなかったので、結局ライオンの腹の中に入っていた人間の子どもの死体には手をつけませんでした。

ボゼは、ライオンの肉をすっかり食べ終わると、後に残った血だらけの皮を被り、骨を杖にして歩いて行きました。

三日目にライオンを食べてからというもの、丸三週間、ボゼは何も食わず、ただただ自分の汗を飲みながら歩いていきました。

ボゼが城にたどり着いたときには、ライオンの皮がすっかり体に張り付き、異様な匂いがしていましたが、その頃にはもう国中の男たちがなぞなぞ姫を怖がって、誰も挑戦してこなくなっていたので、退屈していた姫は、喜んでボゼを部屋に通しました。

しかし姫は、獣の匂いのする汚いボゼを見て、こう思いました。
「まあ、何て汚い男、これで私の婿になろうなんて図々しい。でもまあいいわ、どうせ私のなぞなぞに答えられなくて、すぐ殺されるんですから」

姫は、汚いボザを早く殺したかったので、ボゼのなぞなぞも聞かないで、自分からなぞなぞを始めました。
お前はあっちから、私はこっちから回って、おじさんの家で会おう、とはこれいかに?」

姫がまだ一度も解かれたことのない得意のなぞなぞを出すと、意外なことにボゼは、
「はっはっはっ、姫様、そんな簡単ななぞなぞでいいんですか。そんなのベルトに決まってるじゃないですか」
と軽く答えました。

姫は悔しがって、すぐ次のなぞなぞを出しました。
「笑っておられるのも今のうちじゃ。自分が食べ出すと、隣の人もいつも食べだす、うそつきな果物とはこれいかに?
「はっはっはっ。これはまた簡単ななぞなぞだ。匂いの強いドリアンでしょう」
(*ドリアンは匂いがきついため、隣近所までに匂いが届き、どの家で食べているのかわからない)

ボザがまた軽く解いてしまったので、姫は歯ぎしりをして悔しがると、機関銃のようになぞなぞを連発しました。
あっちでガシュッ、ズルッ、こっちでもガシュッ、ズルッとはこれいかに?
さとうきび
(*さとうきびを食べるとき、ガシュッとかじって、ズルッと汁を吸って飲むから)

私の車にはタイヤが三つ、とはこれいかに?
かまどの石」
(*料理する際、同じような大きさの石を三つ置き、その間に薪で火をおこす。)

私はいつもアラーの神のコップから水を飲んでいる、とはこれいかに?
井戸

旅行から帰ってきたら、マラカスの音が聞こえる、とはこれいかに?
フィウィ」
(*豆の一種、日にちが経って乾くとマラカスのような音がする)

鉄の扉の中にいるときは弱虫なのに、一度外に飛び出すと情け容赦なく人をぶつ、とはこれいかに?
ピストルの弾

ベッドの上に、マチチャ(ココナッツを削ったもの)をこぼした、とはこれいかに?
夜空
(*星がいっぱい)

ちょっと目を離すと、もうちびってる、とはこれいかに?


見れば見るほど信じられないもの、とはこれいかに?

(*自分はもっと美しいはず)

大きな家にひとりぼっち、とはこれいかに?

(*掘った穴がどんなに大きくても、埋葬される死体は一体のみ)

姫は、自分のなぞなぞを全部ボザに解かれると、がっくりと床にへたりこんでしまいました。

そこで、ボザがおもむろにこう言いました。
「では、姫、今度は私からまいります。私はこの三週間、井戸水でも雨水でも川水でも海水でもない水を飲んで、この城にたどり着きました。私はどんな水を飲んだのでしょう

姫はうろたえ、息が荒くなってきました。
「井戸水でも雨水でも川水でも海水でもない水を、人が飲むことができようか。それに、井戸水でも雨水でも川水でも海水でもない水とは一体なんじゃ、むむむむむ・・・・」

姫は生まれて初めて
「むむむむ・・・」とうなりました。
そしてついに、
「降参じゃ、どうしてもわからない。お願いだからそのなぞなぞの答えを聞かせてくれ」
と叫びました。

ボザは、それを聞くと、穏やかな声でこう言いました。
「姫、私はこの城に来るまでの三週間、途中でこのライオンを殺して食べた以外は何も食べず、ただ自分の汗を飲みながら歩いてきたのです。姫にはその日に食べるもののない者の気持ちなどわからないでしょうな。でも人間は、ひもじければライオンだって食べるし、自分の汗だって飲めるものなのですよ

ボザはその後、姫と結婚して、一生食べ物に困らない暮らしができました。もちろん、国の一番端でボザを待っていた祖母も、ボザからいっぱい金をもらって、毎日腹いっぱい食えるようになりました。

話はこれでおしまい。気に入ったなら持ってきな、気に入らなけりゃ、途中で海に捨てとくれ
(話し手 ハリーマ)


今回は、謎をかける女性と、その謎に挑む男性の物語です。

謎かけを題材にしたお話は、世界中で見られますが、かつて、テーバイ国の入り口で、通りかかる旅人に謎をしかけ、解けない旅人を食っていたスフィンクスに、オイディプスが挑み、見事謎を解いて退治したという神話は、あまりにも有名ですね。

スフィンクスは、人面獣身の妖怪。美しい女性の顔に、ライオンの体を持っていたといわれています。

そして、スフィンクスの出した謎とは
一つの声を持ちながら、朝には四本足、昼には二本足、夕べには三本足の者は何か」というものでした。

オイディプスは、これを「人間(幼・壮・老の三態)」と解いて、見事スフィンクスを死滅させたのです。

ところで、美しい姫が、結婚の条件に、難題を出して、それを解いた若者と結婚するというお話は、世界各地で見られます。

年頃になって、自我を持ち始めた姫が、親に言われるままの結婚ではなく、自分で結婚相手を選ぶ、または結婚しないという意識を持ったとき、自分の出す難題に勝った相手としか結婚しないという条件を、自分の親である王様に突きつけます。

そして、父親である王は、その娘を猫かわいがりしているので、ほいほい言うことを聞いて、国中の若者を対象に、
「姫と結婚したいものは名乗りを上げよ。姫となぞなぞの勝負をして勝ったら姫と結婚させてやろう。その代わり、なぞなぞの勝負に負けたものは首を切る」
という親ばか丸出しのお触れを出すのは、どこのお話でも同じパターン。
万国共通、父親は、娘に弱いということでしょうか?

今回登場したタンザニアのなぞなぞ姫は、初めはかたくなに結婚を嫌がっていたけれど、自分の出した難題をクリアするたくましい男性の出現によって、めでたく結婚しますが、同じように、求婚者に無理難題を押し付け、必死で姫を獲得しようとする男性を尻目に、最後まで結婚という名の男女の結合事実なく、一人で月の世界に上がっていった日本の「かぐや姫」の態度とは対照的です。

とはいうものの、外国のお話に出てくるお姫様というものは、初めは男性を拒絶していても、ヒーローの出現に対しては、従順に結婚していくもののようで、この「結婚してめでたしめでたし」のパターンが普通です。

若い男女が登場し、求婚がテーマのお話にもかかわらず、最後が、結婚ではなく、美しい姫が一人で去っていくという日本の「かぐや姫」の方が例外です。

これぞ、女性は「あはれ」な風情があってこそ美しいとする日本独特の美意識からきていることで、日本と外国との文化の違いといえるでしょう。

ところで、このお話は、ハリーマさんが、小さい頃、ハミシィおじいちゃんに聞いたお話だそうです。おじいちゃんは、ザンジバル出身の人ではなく、本土のタンガ出身で、本土とザンジバルを、しょっちゅう行き来していたそうです。

このお話には、ココナッツ、ドリアン、などザンジバルならではの食べ物がなぞなぞの題材になっていたり、イスラム教のことが出てきたりと、とてもザンジバル的なお話ですが、ボザがライオンを殺してその肉を食ったり、皮をかぶったりというところは、いかにもタンザニア本土的です(ザンジバルには、ライオンなどの肉食獣はいませんから)。

ハミシィおじいちゃんが、本土出身で、ザンジバルの女性と結婚し、その後も、ザンジバルと本土をしょっちゅう行き来している人だったというところから考えると、ハミシィおじいちゃんの中で、ザンジバルとタンザニア本土の文化的融合が行なわれた結果生まれたお話といえそうですね。

さて、話を「謎」に戻しましょう。
子供が言葉を覚えだすと、「これなあに?」だけに満足しないで、「どうして?」という疑問を連発し始めますね。

人は、目に見えるすべてのことに名前をつけ、名前を聞けば安心し、わかったような気になりますが、実はそこからが本当の謎の始まりです。子供に問われたものの名前を教え、次に「どうして?」と聞かれ、答えに詰まってドキッとしたことはありませんか?

私たちの周りには、名づけることだけではすまない、「なぜ?」「どうして?」という謎に満ちています。

「あなたはだあれ?」「何をやっているの?」「何のために?」・・・周りの人への問いかけは、やがて、自分自身への問いかけに変わっていくでしょう。

紀元前1200年も前に作られたと考えられているインド最古の宗教文献、ヴェーダの中の、神々への賛歌を集成した「リグ・ヴェーダ」にも、51詩節からなる「謎の歌」があり、それらは、宇宙の生成と存在の本質について解き明かす試みのようでありながら、原則として回答は示されず、推測にまかされているそうです。

宇宙の生成と存在の本質なんていう難しい題目は、とりあえず横に置くとして、男女の関わり一つだって、謎だらけだとは思いませんか?

男性にとって、女性は永遠の謎であり、女性にとって、男性は永遠の謎の存在。いくら大恋愛の末に結ばれたカップルだって、即全面的に互いを理解できるというものではありません。だからこそ、小さな謎から大きな謎まで多々あれど、私たちは男女ともに歩み寄り、お互いの謎を1つ1つ解きながら、暮らしていくべきなのでしょうね。

先述のスフィンクスは、謎を解けない男性を次々に食い殺すという恐ろしい妖怪ながらも、美しい女性の顔を持っていたといわれています。

そして、世界各地のお話に登場するなぞなぞ自慢のお姫様も、それぞれに美しく、王である自分の父親を通じて、相手の男性に向かって、「謎が解けなければ死」を条件に提示しています。
古今東西、男性は、美しい女性の謎を解くためには、命がけで当たらねばいけないようです。

ということで、美しき女性の皆さん、殿方が謎解きを間違えても、けしてスフィンクスのように飛びかかったりしないで、笑顔で許してあげてくださいね。


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