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東アフリカ連帯の歌が流れた、第13回東アフリカ柔道選手権大会 ザンジバル2021の結果

日本は春。いろいろな花の開花が楽しみな季節ですね。
ザンジバルは雨季に入る前特有の猛烈に暑い日々です。
そんな中、第13回東アフリカ柔道選手権大会ザンジバル2021 (The 13th East Africa Judo Championship Zanzibar 2021~ )のため、東アフリカ各国の柔道家がザンジバルに集結し、3月6~7日の2日間に渡って、東アフリカ一を競いあいました。
今回は、6カ国が出場し、ザンジバル、ケニア、タンザニア本土、ブルンジ、ウガンダ、ルワンダで、熱戦が繰り広げられました。
(☆柔道だけではなく他スポーツも含めて、東アフリカ大会では、ザンジバルも1国として、タンザニア本土とは別枠で出場できるのです。)

<連続優勝、66㎏級のアブドルラッビル>
ザンジバル男子唯一の金メダリスト、66kg級のアブドルラッビルは、2年前に日本柔道留学@順天堂大学を果たした際に、世界選手権大会(東京)に出場した選手で、今大会のチームキャプテン。見事なオール一本勝ちで2大会連続、3回目の優勝を飾りました。

<ジュニアを経て育ってきた若者たちの活躍>
ジュニアで入門してきた子どもたちが20歳前後になってめきめき力をつけてきて、軽量級で活躍しました。

60㎏は、双子のアリが決勝進出して、惜しくも銀メダル。3位には、双子の片方のハリッドも入り、双子で60㎏を担った形となり、表彰式では、とても誇らしげにメダルをかけてもらっていました。

<ペンバ島から唯一の73㎏級ワリッド、二度目の参加で、銅メダル>
ペンバ島から合宿に参加したのは3人いましたが、大会出場は、73㎏級のワリッド一人で、ザンジバル代表、そしてペンバ島の代表でもあることを胸に大会に挑み、決勝進出は果たせませんでしたが、三位決定戦で銅メダルを奪取。

右がワリッド、左はアブドゥルシャクル

ワリッドは、とにかく物静かで、なにをするのも遅く、のらりくらりとしているのですが、練習ではどれだけ投げられても、無言でのっそりと立ち上がって、また向かっていく選手です。

第12回東アフリカ大会が、ワリッドにとって初の国際大会でしたが、このときはメダルなしでおわり、ザンジバルの総合優勝に貢献できなかったので、今大会は、自分も絶対に入賞してチームに貢献し、ペンバ島にメダルを持ち帰るというような熱い内容を、もの静かに語っていました。

それが実現できたワリッド、あいかわらず物静かに、大会翌日からの練習に参加していますが、今週いっぱいでペンバに帰る予定です。

島岡名誉会長曰く、
「ペンバ島の柔道の底上げには欠かせない選手なので、合宿の練習内容をペンバ島の選手たちとも共有してほしい」と期待されています。

<ザンジバルチーム結果>
ザンジバルチームは、男子13名、女子1名の出場で、
男子 金1 銀4 銅6
女子 銀1 
を獲得。
銀の数でおわかりのとおり、5人のうち、66kgアブドルラッビルだけが金で、4人が銀に終わったので、男子総合優勝は果たせず、
3階級を制したケニアが1位、2階級取ったタンザニア本土が2位、ザンジバルは3位、あとは、ブルンジ、ウガンダ、ルワンダの順でした。

ケニアチーム、おめでとう!!!

ザンジバルチームをけん引した、アブダルラッビルが代表して総合3位のトロフィーを受け取りました。(2位は、金を2つとったタンザニア本土)

アブドルラビルと共に、順天堂大学で修業を積んだ90㎏級ハミシィも、2連覇を狙っていましたが、今大会は、3位でした。

<ザンジバル女子は出場1人のみ、ムジガニ>
女子は、57kgムジガニ一人だけの出場で、3大会連続優勝を狙っていたのですが、ブルンジに負けて銀メダルでした。

出場予定だったサルマは、出産後の子育てで復帰できず断念。ラユーは仕事先から許可がおりず断念。女子の選手は、なかなか増えません。
 それは他国も同じらしく、今大会は特に女子が少なく、ケニア5人とブルンジ4人、ザンジバル1人しか出場選手がいなかったため、3階級が決勝のみ。後の4階級は試合なしで金メダルということで、女子の部は大会の体をなしていませんでした。
今後は女子の柔道選手も増えていくことを願ってやみません。

<ドタキャンと、コロナ検査に振り回された第13回大会>
さて、大会内容は上記ですが、大会開催にあたって、今回は、いつものドタキャンだけではなく、突然の参加と、コロナ検査に翻弄されました。

選手団のドタキャン(ケニアが知らせてきた到着予定は、42人でしたが、当日空港に降りたったのは11人のみ。
もう来ないのかと思ってホテルをキャンセルしてしまったら、大会初日の夜に30人が到着!

そのほかにも、そもそも計量に間に合わない時刻に到着する飛行機でやってくるチーム、事前に何の連絡もなく、空港について突然連絡してきたチームなどなど、100人超える人数ですから、それだけでもばたばたなのに加え、今回は、各国選手団全員、コロナの陰性照明書を、出発前に取らねばならず、コロナ検査場への行き来も含めて、移動の多い過密スケジュールとなりました。

アフリカでの大会運営には、予定は未定、約束は守られないのが前提、ドタキャン、・・・日本では考えられないようなことが多々起きるので、もう無理なんじゃないかと思う場面もたくさんるのですが、なんだかんだで最終的にはそれなりに成立するのです。
・・・というか、大会運営側がそうもっていけなくてはならないという感じですが、とにかく、精神的にも体力的にも相当タフにならないとやっていけません。

やっと各国選手団を送り出せたと思いきや、ルワンダ選手1名コロナ検査を忘れていたということで、結果と飛行機待ちでまだザンジバルに残って練習に参加しています。
また、ケニアの最初に来た11人(こちらは警察チーム、後続で大挙してってきたのは刑務官チーム)は、大会後もザンジバルで合同練習をするという計画できたとかで、引き続きザンジバル滞在中。
ケニアが合同練習を申し込んできたのに、ケニアチーム自体は、毎日海で遊んでいるらしく、一度も練習にきていないという有様ですが(笑)

<開会式と閉会式>
開会式の入場行進

オープニングでは、ザンジバルを代表してモハメッド副会長と、ナショナルスポーツ評議会書記長が各国選手団への歓迎のスピーチ。

<表彰式と閉会式>

閉会式の来賓は、情報・観光・文化スポーツ省の書記長(大臣代理)でスピーチをしてくださり、在タンザニア日本大使館からは、コロナ禍のため大使館からの出張はできないということで、代わりに後藤真一大使よりメッセージをいただき、それをザンジバル柔道連盟書記長のユスフが読み上げました。

ザンジバル柔道連盟名誉会長島岡強は、柔道を通して、友情と平和を構築することが、メダル以上に大切なことなので、これからも東アフリカ大会を続けられるよう各国がんばっていこうということを話しました。

タンザニアオリンピック委員会のグラム会長も出席してくださる予定でしたが、なんと当日に交通事故で来られなくなってしまいました。この事故で、手術したばかりの膝を痛めてしまったそうなので、心配です。

<来年は、ウガンダ>
来年の東アフリカ大会は、まだ開催したことのない国ということで、東アフリカ柔道の会長(ブルンジのマニラキザ氏)から、ウガンダが指名されました。

そして、大会が終われば、ノーサイド。
選手同士仲良くなって、来年の再会を約束しあっていました。
選手たちは、練習を積んで、またナショナルチームに選ばれ、ウガンダに行くのを今から楽しみにしています。

<東アフリカの歴史と歌>
開会式でも、閉会式でも、各国(ザンジバルも含めて6カ国 ☆ザンジバルにも、タンザニアとは別の国旗と国歌があるのです)の国歌を流したのですが、今回は、主賓のスポーツ省大臣代理ハミシィ氏からの提案で、「東アフリカの歌」も流しました。
私自身初めて聴きましたが、何度も「East Africa」というフレーズが出てきて、まさに東アフリカの歌でした!

1967年に、タンザニアのジュリアス・ニエレレ、ケニアのジョモ・ケニヤッタ、ウガンダのミルトン・オボテは東アフリカ協力条約を締結し、タンザニアのアルーシャに東アフリカ共同体の本部と事務局が設置されたのを発端に連帯を強めたものの、いったん関係がこじれて、戦争になってしまい、東アフリカの連帯は白紙となりましたが、その後、2001年に三国で再結成され、ルワンダ、ブルンジ、スーダンが参加していった という歴史を踏まえて、この東アフリカ柔道選手権大会もあるんだなと、あらためて、東アフリカの歴史を感じた大会となりました。

今後も、東アフリカ柔道選手権大会が、戦争や紛争や病気で大会が中断することなく、継続していくことを願っています。

みなさま、熱き応援、ありがとうございました。

                       島岡由美子

追伸
<久々に、ヤングスターズ柔道大会、開催します>
 このところ、ザンジバル武道館では、子どもの入門者も定着して来ていて、年末のザンジバル武道館杯を観た子どもたちが、
「自分たちも試合をしたい!  したい!!  したい!!!」
「子どもの大会は、いつですか? いつですか??  いつですか???」
と何度も言ってくるので、島岡名誉会長も、モハメッド副会長も、東アフリカ大会がおわったらと応えていましたが、いよいよ3月20日に、ヤングスターズ柔道大会を開催することになりました。

この子たちもヤングスターズ大会に出場予定。東アフリカ大会を目の当たりにして、大興奮していました。

 子どもの大会は久しぶりですし、 66㎏のアブドルラビルが柔道を教えている、ジャンビアニのインターナショナルスクールからも数人参加表明があったので、よけい楽しみです。
 今回出場する子どもたちが、柔道大会参加の経験を経て、さらに柔道を好きになって、がんばっていけるようにという願いを込めて、準備を進めています。

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