イカンガーコーチへのインタビュー(2/3)




1. イカンガーのライバルは誰?(1/3)
2. イカンガーコーチのアドバイス(2/3)
3. イカンガー、日本を語る(3/3)


**********イカンガーコーチのアドバイス**********
Q26.現役を退いた理由は?
イカンガー: 今でもフルマラソンで走るだけの力はありますが、今の力では1位を狙うことはできません。ボストンマラソンのように、一般の人々が参加する大会では、4時間5時間かけて完走することに意義を見出す人もいますが、私にとって現役で走るということは、1位を狙うことであり、そうでなければ私にはマラソンに参加する意義がないのです。そして私自身がそれ(1位を目指す力がなくなったこと)を自覚した時、引退を決めました。

Q27.現役を退いてからはコーチとしてご活躍ですが、現在のタンザニアでは、どの選手が有望でしょうか。
イカンガー: そうですね。いい若手はたくさん育っていますが、なかでも、エンドリ・サング、ジョニ・ユダ、ズベダヨ・バヨ、ジョン・ナダヤサといったところが有望株です。

Q28.コーチとして日本に行かれたことは?
イカンガー:ありません。私は現役時代に、十分日本にもその他の国にも行って、世界を見てきました。選手たちをはじめ、他のコーチたちにも外の世界を見てほしいので、私自身はタンザニア国内でのコーチに徹しています。

Q29.日本に行く選手にはどのようなアドバイスをしていますか?
イカンガー: 日本とタンザニアの時間差は6時間で、日本でのマラソン大会は、たいてい昼の12時5分がスタートなので、日本へ行く選手たちには、それに合わせて、朝の6時5分から走るよう指示しています。また、冬の寒さが厳しいことを何度も話し、走りこみは、タンザニアの中では涼しい地方のアリューシャで行うようにしています。

また、日本選手は、日本国内のレースでは皆すごい力を発揮するから絶対に気を抜いてはいけないこと、それから、日本人は観衆も含めて、見るに値する選手だけが参加する高度なマラソンレースを期待しており、観衆の観点もハイレベルであることをアドバイスしておきます。また、私が初めに怖気づいてしまった観衆の応援のすごさにもふれています。まあいくら言葉で言っても、実際に行って経験してみないとわからないものですけれどね。

Q30.マラソンランナーを目指す人々にアドバイスをお願いします。
イカンガー: マラソンは自分との戦いです。寒い暑いといった気温だけでなく、風、雨、雪といったあらゆる自然現象に立ち向かう強い心、日頃から食事に十分気を配り体重や体調を維持する自己管理力、そして、何よりも毎日走りつづけること。その3つが大切です。その3つが満たされれば、走った後には、水分補給と食事によってすぐに回復する程度の心地よい疲労と、明日もまた走ろうという意欲が湧いてくるでしょう。

Q31.これからのタンザニアスポーツ界発展のために何が必要だと思いますか?
イカンガー: しっかりした組織作り、スポーツ選手のレベルアップ、国内外での競技会への参加、メディカルケアの充実、後援者や団体の理解と協力、この5つが必要だと思います。


Q32.イカンガーさんの夢は何ですか?
イカンガー: 私の夢は、タンザニアに体育学校を作ることです。タンザニアにはまだ1つも体育学校がありません。体育専門の学校を作れば、スポーツを総合的に学校で学び、しっかりした組織の下で系統だったトレーニングをしていく環境を与えることができます。そしてこの学校で学んだ者が各スポーツのコーチとなり、学校の教師となり、タンザニア中のスポーツ教育を充実させていくのです。


Q33.その夢の実現に向けて何か活動されていますか?
イカンガー: 私の妻であり、元槍投げの選手でもあるカトリーヌが創始者となり、「Operation Ikangaa Athletic」(略称OIKA)という陸上クラブを作り、ダル・エス・サラームにある国立競技場内で、月曜日から土曜日の夕方、子供たちを教えています。この活動が、将来の体育学校につながると信じ、がんばっています。日本の方々も、もしダル・エス・サラームに来られることがあれば、気軽に国立競技場に来てください。将来のタンザニアを担うアスリートたちが毎日汗を流していますから。そして、この取り組みに賛同してくださる方がいたら、大変嬉しく思います。


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