トロワ・タンザニアからのTANZANIA便り2002.3月


*この便りはトロワ・タンザニアスタッフのMUNAWARさんより隔週(3日と17日)で送られてきます。
MUNAWARさんはザンジバルに住む30代の女性です。MUNAWARさんへのメールは
こちらまで



便り43「マンゴーを食べよう!」(2002.3.3)
便り44「マンゴーの木に登ろう!」(2002.3.28)


便り43「マンゴーを食べよう!」



ジャンボ!アフリカフェフレンドの皆さん、お元気ですか?

私の方は、ザンジバルで毎日猛烈な日差しに照らされ、黒さ倍増といったところです。人間はへたばりそうなこの季節にはりきっているのは、暑い季節の代表フルーツのマンゴーです。マンゴーは、暑ければ暑いほど甘味を増すので、この時季のマンゴーは、本当に甘くておいしいですよ。

マンゴーと一言で言っても、ザンジバルの市場には、大きさ、色、形、味様々なマンゴーが並んでいます。ざっと見渡すだけでも、ドド、ボリボ、ブユニ、ハレレニ、チキチ、ボリボユブ、シアギ、ショマリ、デーモ、キズング、デーモ・・・と続き、一度ではとても覚えられません。便り26の「びっくりバナナ大賞」では、赤いバナナや巨大バナナを紹介しましたが、マンゴーにも真っ赤なマンゴーや、巨大マンゴーがあるんですよ。

私のおすすめは、ボリボという大きくて甘いマンゴーです。このボリボは、マンゴーの中で一番大きな種類で、中には赤ん坊の頭ぐらいのものまであり、ボリボなら、1つを数人で食べることができます。しかも、甘くておいしく、いうことなしです。ボリボはペンバ島でたくさん採れるので、船で私たちの住むウングジャ島(ザンジバルは、ウングジャ島とペンバ島の二つの島から成り立っているのです)に運ばれてきます。

でも、私は、ボリボのでかさに圧倒されて、なかなか手が出せず、例年は手ごろな大きさで、甘くておいしいドドばかり食べていましたが、今シーズンは、ペンバ島に帰っていたナソロ君が、このボリボをおみやげに持ってきてくれ、それがあまりにもおいしかったので、それ以来、ボリボにはまって、毎日食べています。

マンゴーは、種類によって食べ方もいろいろで、ショマリという小ぶりのマンゴーは、よく熟させて、マンゴーのおへそをちょんと切り取り、そこに口をつけて、実を手で揉みながら、中の果実と果汁を食べます。子どもがこうして食べている姿はかわいらしいですが、大の大人が、卵よりちょっと大き目のマンゴーに吸い付いて、ちゅうちゅう食べている姿は、かなり笑えますが、これもおやつにぴったりです。

マンゴーをまだ青くて固いうちにとって、縦に切込みを入れ、塩とピリピリ(とうがらし)をかけて食べる食べ方もあり、それをケリといいます。これは、タイなどの東南アジアでもお馴染みの食べ方のようです。そういえば、タンザニア在住のタイ人が言っていました。「タイも果物のおいしさには定評があるけれど、タンザニアのマンゴーの甘さには脱帽だね。本当に甘くておいしいよ」でも彼は、塩ととうがらしをつけて食べる青マンゴーが一番好きなんですって。

また、この青く酸っぱいマンゴーは、カレーなどの煮込み料理にも使われます。ザンジバルの人は、ライムやタマリンドのようなすっぱい味が好きで、青マンゴーの酸味も上手に料理に生かしています。魚のシチューを作るときなど、マンゴーと一緒に煮込むと、マンゴーの酸味が魚の臭みを消す上、酸味が食欲を増進させてくれるので、ザンジバルの人はこの暑い季節、必ずといっていいほど、マンゴー入りのカレーを作ります。「マンゴーが1年中あったらいいのに」とは料理上手のアミーナさんの言葉。



マンゴーの木は背が高く、常に緑の葉が茂り、大木という言葉がぴったりです。中には30メートルをこすような大木も。ザンジバルには、こんなマンゴーの木がいたるところに生えていて、この季節には、どの木にも、ぶらぶらとたくさんの実がぶら下がっています。
「ザンジバルには武器弾薬はないけど、マンゴーならいくらでもあるよ。今戦争が始まったら、俺たちは、マンゴーで対抗するしかないよな」と笑うのはモハメッドさん。
これは、果物の宝庫であるザンジバルでは、ごく普通に使われるジョークです。パイ投げならず、マンゴー投げ。人間は、争いごとが起こっても、武器弾薬の使用に発展させず、この段階で止めておくのが、平和を保つ秘訣かもしれないですね。

ところで、マンゴーのもう一つの特徴は、平たく大きな種。桃と同じように、マンゴーも、種の周りの果肉が一番おいしいので、少々行儀が悪いですが、最後には、種にかぶりついて食べることをお薦めします。

でも、マンゴーの汁を服にこぼすと、黄色いしみになってなかなか取れないので、気をつけて下さい。それから、マンゴーを食べると、口の周りにも黄色い果汁がくっついてしまうので、「あっこの人はマンゴーにかぶりついたな」と一目瞭然ということもお忘れなく。また、マンゴーはうるし科の植物なので、かぶれ防止のためにも、食べたらちゃんと手と口の周りを水で洗って下さいね。

皆さんも、いつかザンジバルに来られたら、心置きなくおいしいマンゴーを満喫してください。

それでは今日はこのへんで、Good luck!
By ムナワル


便り44「マンゴーの木に登ろう!」



ジャンボ!アフリカフェフレンドの皆さん、お元気ですか?
ザンジバルは、例年より少々遅れながらも大雨期(マシカ)に入りました。この雨は、5月中旬まで続きます。

さて、便り41「マンゴーを食べよう!」では、ザンジバルの市場に並ぶマンゴーの種類や食べ方についてご紹介しましたが、今日は、マンゴーの木についてお話しましょう。

マンゴーがいっぱいあふれるザンジバルには、もちろんマンゴーの木もたくさん立っています。マンゴーの木は、幹も枝も太い、どっしりとした大木で、樹齢何十年という木も珍しくありません。高さも半端じゃなく、20メートル、30メートル級の大木もあちこちにそびえ立っています。

マンゴーは、ココナッツにならんで、ザンジバルの生活の中に溶け込んでいて、地名にもことわざにもカンガ(布)の図柄にも頻繁に登場します。地名は、マンゴー村のマンゴー町といった具合、ことわざでは、「マンゴーは熟したり」(物事には時期がある)、「すっぱいマンゴーは、根元から切り倒せ」(悪は元から絶たねばなにもならない)等々。 場所の説明にも、頻繁に「どこどこのマンゴーの木から左に曲がって・・・」という具合にマンゴーが目印に使われます。

マンゴーの木は、常に濃い緑の葉を生い茂らせている大木で、そのこんもりとした形状から、人々に大きな日陰を提供してくれるありがたい木であると同時に、夕暮れ以降に、マンゴーの下を通るのは、葉が茂って、暗すぎて怖いほどの雰囲気もあり、マンゴーの樹齢が長いことも手伝って、シャターニ(悪魔)が住む木としても信じられており、よく「あそこのマンゴーの下で悪魔に会った人がいるんだって」という噂話や、マンゴーに住みついた悪魔や、木の精が登場する昔話もたくさんあります。

マンゴーは大木、低い位置に生っている実は取りやすいですが、高い枝になると、登るだけでも大変です。子どもたちは、石ころや木片を投げたり、パチンコを駆使して、マンゴーの実を叩き落そうと真剣です。大人は、長い棒の先を鍵状に曲げたマンゴー取り器で、実をはさみ、下に落としています。それでも届く範囲は限られてしまうので、あとは登るしかありません。

とはいうものの、せいぜい平屋の屋根を越す程度の柿の木ぐらいしか登ったことのない私には、気の遠くなるような高さ。でも、マンゴーは枝ぶりがしっかりしているので、どんなに高くても、登るのは難しくないそうです。「簡単さ」という言葉どおり、平気の平左ですいすい登っていくザンジバルの人を、毎回尊敬の念で見ています。

遠くから見ても目立つほど高いマンゴーの木は、たいていそのてっぺんに、その地区のサッカーチームの旗が翻っていたり、応援している政治家の似顔絵や写真がぶら下がっていたり、太い木の幹がカラフルにペイントされていたり、・・・どうやら若者たちが、地域自慢と大木のてっぺんまで登る勇気を競い合っているようです。



時には、夜中のうちに違う地区の若者がマンゴーの木に登って、てっぺんの旗を、違うサッカーチームの旗にすりかえてみたり・・・。そうなると、大人たちも黙っていません。俺たちの木だ、よそ者になめられてたまるかと、若者たちを叱咤激励します。どうやらザンジバルの男性陣にとって、マンゴーの上は縄張りの象徴で、よそ者に侵されざるべき神聖な場所のようです。
「大きな栗の木の下で」の歌は、「あなたと私、仲良く遊びましょう」と続きますが、ザンジバルで唄う場合は、「大きなマンゴーの木の上を」「俺たちの力で、しっかり守りましょう」となるようです。

ところで、ザンジバルでは、このマンゴーの季節になると、フロントガラスが、狙撃を受けたように、蜘蛛の巣状のひび割れが入っている車が増えます。



車が何台もおけるほど大きな日陰を提供してくれるマンゴーの木の下は、青空ガレージとして、車の修理屋になっているところが多く、修理に出した車は、ずらりとマンゴーの木の下に置かれます。そのときに、鳥のいたずらなのかなんなのか、まだ青くて固い小さなマンゴーが落下してくることがあり、いくら小さくても高い木の上から直撃するのですから、フロントガラスだってたまったものではありません。一瞬で、蜘蛛の巣状の派手なひびが入ってしまうというわけです。

「ブレーキ修理を頼んでいただけなのに、逆にフロントガラス割られちゃったよ。まいったなあ」とぼやいていたのはジュマさん。でも、ザンジバルでは日本のように、修理屋の方が弁償したり、車の保険で支払われるといったようなシステムはないので、泣き寝入りです。「相手がマンゴーじゃ、訴えることもできないしなあ、まいった、まいった」と言いながら、車を走らせていきました。確かに狙撃犯がマンゴーでは怒るに怒れませんね。

気持ちのいい木陰を提供し、たくさんの美味しい実を生らせ、いいことずくめのマンゴーにも、こんな一面があったんですね。というわけなので、ザンジバルで、狙撃されたような車を見ても、けっして拳銃でどんぱちやっているのではありませんので、誤解しないでくださいね。

それでは、次回のお便りまでお元気で。GOOD LUCK!!  
BY ムナワル                         




NO.1「ジャンボ!」(2000.4.15)
NO.2「タンザニアのゴールデンウィークは大雨期の真っ最中」(2000.5.10)
NO.3 「ジャンボ、ベイビー! (こんにちは、赤ちゃん)」(2000.5.18)
NO.4「カンガ(布)は語る」(2000.5.25)
NO.5 「日本はぼた餅、タンザニアはタコとサメ!」(2000.6.12)
NO.6「リズム感のルーツは子守唄にあり」(2000.6.28)
NO.7「日本は七夕、タンザニアはサバサバ!」(2000.7.11)
NO.8「アフリカフェの故郷ブコバ」(2000.7.16)
NO.9「アフリカフェの生みの親、TANICA社」(2000.7.16)
NO.10「コーヒーに最適な土地、ブコバ」(2000.7.18)
NO.11「ブコバでは、無農薬が当たり前」(2000.7.18)
NO.12「恐怖のこうもり男」(2000.7.18)
NO.13「小規模だからこそできる有機農業」(2000.9.11)NO.14「オリンピックって何?」(2000.9.27)
NO.15「タンザニア式炭焼きケーキ」(2000.10.8)
NO.16「自然と人間のハーモニー」(2000.10.19)
NO.17 アロマティックライフの勧め (2000.11.1)
No.18 アフリカフェ・アロマの秘密(2000.11.11)
NO.19「続アロマティックライフの勧め」(2000.11.21)
No.20 「ラマダーン風景」(2000.12.11)
No.21「ラマダーン、明けましておめでとう」(2001.1.11)
No.22「バブが語る昔のコーヒー事情」(2001.2.4)
No.23「コーヒー愛飲歴70年、ビビが語る」(2001.2.4)
No.24「セネネ(バッタ)は愛の証」(2001.2.17)
No.25「バナナ酒ルビシ」(2001.3.11)
No.26「びっくりバナナ大賞」(2001.3.18)
No.27「FOODEX JAPAN 2001報告」(2001.4.5)
No.28「JETROブースにて」(2001.4.17)
N0.29「ミスター 2ボトルを偲んで」(2001.5.4)
No.30「平山領事に贈る言葉」(2001.5.17)
No.31「人気テレビ番組は『おしん』」(2001.6.5)
No.32「動物スプーンは、カンバ族伝統の木彫り工芸」(2001.6.17)
No.33「自警団、その名はスングスング」(2001.7.3)
No.34「幻のサバサバ柔道杯2001」(2001.7.17)
No.35 「ブコバのコーヒー農園2001」(2001.8.4)
No.36「バナナ・ア・ラ・カルト」(2001.9.3)
No.37「ブコバ特産、干草製床用カーペット」(2001.9.17)
No.38「ブコバ特製オーガニックスプレーの作り方」(2001.10.3)
No.39「ザンジバルの建設現場風景」(2001.11.3)
No.40「ブコバの珈琲文化 1.ゆでコーヒーの実」(2001.12.3)
No.41「ブコバの珈琲文化2.生活篇」(2002.1.9)
No42 「タンザニアの薬木代表、ムアルバイネ」(2002.2.3)



アフリカフェTOPページ