ティンガティンガ
ティンガティンガ アートとは
About TINGATINGA ART
創始者ティンガティンガ
The founder of TINGATINGAART
ティンガティンガ・アートは、1960年代末、タンザニアのダルエスサラーム郊外で誕生した絵画スタイル。
「ティンガティンガ」という名称は、創始者の名前 Edward Saidi Tingatinga エドワード・サイディ・ティンガティンガ(1932~1972)に由来します。
タンザニア南部、トンドゥール地方で育ったティンガティンガは、大人になると、多くのタンザニア青年と同じく、仕事を探しに、都会ダルエスサラームに出てきました。
都会での生活は、田舎育ちのティンガティンガにとって、とても刺激的で、特に、マコンデのンゴマ(太鼓&踊り)に惹かれて、仕事の暇を見つけては、彼らと一緒に太鼓を叩いたり、踊ったりと大いに楽しんでいたそうです。だから、絵を描き始める前のティンガティンガは、太鼓や踊りのうまいミュージシャンとしての名の方が高かったともいわれています。
ところで、その当時、ダルエスサラームにある骨董店に並べられ、観光客がアフリカの記念にと買い求める絵のほとんどが、コンゴから来た絵画でした。
それを見たティンガティンガは、
「なぜ、ここには、タンザニアのアーティストが描いたものがないんだ?」
「なぜ、そのアーティストが、俺自身ではいけないんだ?」
「いや、いけないはずがない。そうだ、俺が自分で絵を描けばいいんだ!」
と考え、一念発起した彼が、1968年、60×60センチのマゾニット(建築用の合板)に、エナメルペンキで、動物や植物を思いつくままに描きはじめたのが、このアートの始まりでした。
妻のアガサは、突然、建築資材の合板に向かって、ペンキで絵を描くティンガティンガの姿に驚き、
「なぜ、あなたはそんなばかげたことをするの?」とたずねたといわれています。
ティンガティンガは、こんなふうにして絵を描き始める一方、妻帯した男性として、子供がたくさんほしいと願い、妻が子宝に恵まれるようにと、ムガンガ(祈祷師兼漢方医)に祈りと治療を受けることにしました。
そのために、ムガンガの住まいに近いキガンボニ地区で数ヶ月を過ごしたのですが、その間に、ティンガティンガは、ムガンガの家を、カラフルな絵で飾り立てました。それは実に見事で、道行く人の注目を集めただけでなく、外人コレクターの目にとまり、ぜひこの家ごと譲ってほしい、すべてを持っていきたいほどだと言わしめました。
そのことは、画家として歩みだしたティンガティンガにとって、大きな自信となり、その後、本格的に絵を描き続ける中で、北欧人によってその才能を見出され、ティンガティンガの名とともに、その作風は、北欧を中心に、広く外国に認められていきました。
しかし、ティンガティンガの活躍の時期は短く、1972年5月17日、雨の夜、友人に車で送ってもらう途中、ダルエスサラームのインディペンデンス・アベニュー(現在のサモラ・アベニュー)で、その車が、検問中の警官に不審車と思われてしまい、警官が、車を止めるために威嚇射撃として撃った弾が、運悪く、同乗していたティンガティンガに命中。
そのまま帰らぬ人となったのです。40歳の、あまりにも早すぎる死でした。
ティンガティンガの作風と精神
The style of TINGATINGAART
生前のティンガティンガは、自分が生まれ育った、タンザニア南部の動物と自然多き故郷の心象風景を、描きました。
尾長鳥、人間のように器用そうな手を持った猿、色鮮やかなゼブラ、画面いっぱいにうねる蛇、じっとたたずむバッファロー、こういった動物の他に、タンザニアでは精霊が宿ると信じられているバオバブの木、家の周りで戯れる鶏たち、タンザニアの呪術師、蛇にかまれた女性など、タンザニアでの日常風景や人物もテーマにしています。
また、ティンガティンガは、自分の絵が売れるようになると、アフリカンファミリーの常として、彼の元に集まってくる親戚の面倒を見ながら、その中で絵に興味を示した親戚たちを、直弟子として、絵の手ほどきもしました。
といっても、彼自身、教育を受けてはいませんから、手ほどきは、すべて実践の中にありました。
背景の色塗りから、模倣・・・そして、彼らが自分で描けるようになると、それぞれが自由に自分で作品を描き、どんどん作品を売っていくことも薦めていました。
だから、ティンガティンガが不慮の死を遂げ後も、ティンガティンガと血縁関係にある弟子達が中心となって、彼の作風や精神を、そのまま受け継ぐことができたのです。
このように、創始者亡き後、弟子たちが、師の作風を受け継ぎ、しかも自由にのびのびと絵を描き続けることができたのも、描写方法やスタイルが、いろいろな方向に枝分けれしてきた今でも、すべてをひっくるめてティンガティンガ・アートと呼ばれることも、エナメル・ペイントを使って、動物や自然、人々の日々の暮らしを色彩豊かに描くというシンプルな作風、絵を描きながら、一族郎党助け合って暮らそうとした基本精神、模倣から始まる実践と経験の中から弟子を育てていった教育方法、そして、ティンガティンガ自身は、画家としての活動期間が極端に短かかったことなどが、すべてプラス面で影響しているからなのだろうなと、私は思っています。
ティンガティンガ芸術村(工房)
TINGATINGA Village
ダルエスサラーム郊外には、アーティストたちによって共同で運営されているティンガティンガ芸術村(工房)というところがあります。
そこには、ティンガティンガ・アーティストたちがたくさんいて、熱心に絵を描いています。青空の下や室内に、所狭しと並べられたエナメル画は、もちろんティンガティンガ・アートのオンパレード。
クラシックな動物画あり、マコンデのシャターニをティンガティンガ・アートに取り入れたリランガ風の作品あり、タンザニアの病院や学校、市場など、生活風景を、大きなキャンパスにコミカルタッチで描いている作品あり、バラエティーに飛んでいます。
このティンガティンガ・アートの広がりと、アーティスト同士のつながりは、太い幹に、たくさんの枝を付け、いろいろな方向に伸ばしながら、タンザニアの大地にそびえ立つバオバブの木のようであり、みんなで協力し合って、絵を描きながら、生きていこう!ということを、実現しているのが、ティンガティンガ・アートではないかなと、ここに来るたびに思うのです。
そして、ティンガティンガ・アートの明るい色使いと、動物や人物が、絵の中で大きな声で話しているような、パワーあふれる作品群を観ていると、私まで絵の中に入り込んで、会話に参加しているような、楽しい気もちになってきます。
ティンガティンガの死から30年以上経った今でも、タンザニアではティンガティンガ・アーティストと呼ばれる人たちがたくさん育っています。
ここでは、有名無名は問わず、私たちバラカが素敵だと感じる絵を描く、現代のティンガティンガ・アーティストをご紹介します。
タンザニアのハッピーアート、ティンガティンガの世界をお楽しみいただければ幸いです。
島岡 由美子
ティンガティンガ・コースターチーム
COASTER TEAM
これは、タンザニアのティンガティンガ・アーティストによる手作りの木製コースターです。
私達バラカは、2006年に、ティンガティンガ芸術村(工房)の女性メンバーを中心とするティンガティンガ・コースターチームを結成。
コースターの定期的購入により、アーティストの自立を応援しています。
小さいけれど、1枚1枚丁寧に絵が描かれ、それぞれがオンリーワンのオリジナル作品で、楽しく使える実用的なコースターです。
使って楽しい、飾って楽しい、カラフルなティンガティンガ・コースターで、コーヒー&紅茶タイムを楽しくお過ごしください。
コースターチームのリーダー、アグネス(右端)より
バラカのコースターチーム結成は、定期的収入につながり、生活費と共に絵を描く材料費にも計画的に回せるので、女性アーティストの大きな励みになっています。
ティンガティンガ村への画材支援
Contribution
原画展の収益の一部から、画材支援を続けています。
(株)バラカは、毎年開催している自社主催ティンガティンガ原画展、
日本各地の百貨店等で開催するティンガティンガ原画展の収益の一部から、2008年第1回名古屋展から毎年恒例として、現地ティンガティンガ芸術村(工房)のアーティストへ、画材支援を続けています。
画材支援だけではなく、発電機などの贈呈や工房修繕も。
日本から持ち帰った絵筆や刷毛筆は、とても描きやすいと評判で、「今年も、この筆を楽しみにしていたんだ!」とアーティスト達は大喜び。
バラカのティンガティンガ展に出品したアーティストが中心なのはもちろんですが、出品しなかった人にも行き渡るよう、多く用意しています。
画材支援だけではなく、彼らのリクエストの応えて発電機などの贈呈や、工房修繕にも協力しています。
ティンガティンガ・アートの寄贈
Donation
天王寺動物園の100歳の誕生日に
ティンガティンガ・アートを寄贈しました
タンザニアから、動物園へティンガティンガ・アート絵画の贈呈
(株)バラカは、大阪市立天王寺動物園開園100周年を記念して、2015年1月、天王寺動物園へ、ティンガティンガ・アートを寄贈致しました。
天王寺動物園は、多くの大阪の人が動物と初めて出会う思い出の場。 動物を通じて大阪とタンザニアがつながっていることを、感じていただきたいとの思いから、野生動物のふるさとであるタンザニア・ティンガティンガ村のアーティスト ムワメディ氏が、天王寺動物園100周年を記念して、天王寺動物園に暮らすタンザニアの動物たちが、通天閣やあべのハルカスに囲まれて、ハッピーに暮らす様子を、アフリカン現代アート ティンガティンガ・アートで、特別に描き上げた原画作品を贈呈致しました。 作品タイトルは「天王寺動物園開園100周年おめでとう!
~ Hongera kwa miaka 100 TENNOJI ZOO ! ~」 記念のティンガティンガ・アート作品は、今後も、天王寺動物園で展示、活用くださるとのこと。 たくさんの方々に、ティンガティンガ・アートを楽しんでいただけますように!
大阪市営交通110周年記念
ティンガティンガ・アート寄贈と感謝状拝受
(株)バラカは、大阪市営交通110周年を記念して、2014年4月、大阪市交通局へ、ティンガティンガ・アート76点を寄贈致しました。
今回、寄贈させていただいたのは、合計76点のティンガティンガ・アートの原画。
その中には、アーティストのムブカ氏によるオリジナル作品もあります。作品タイトルは「JAMBO(こんにちは)!大阪~大阪市営交通110周年おめでとう~」。
アフリカから大阪の町に遊びにやってきた動物たちが、地下鉄に乗って、大阪名所を巡り、大阪名物を楽しむ、そんな様子を楽しく描いた作品です。
2014年9月、大阪市長よりバラカへ、感謝状をいただきました。
76点のティンガティンガ・アートの作品は、今後も、地下鉄駅構内や様々なイベント等で展示、活用くださるとのこと。
大阪のあちこちで、たくさんの方々に、ティンガティンガ・アートを楽しんでいただけますように!
こちらのムブカ氏の作品は、大阪市営地下鉄天王寺駅構内に飾られ、多くの利用者の方に楽しんでいただいています。