TANZANIA便り2002.10+11

*この便りはトロワ・タンザニアスタッフのMUNAWARさんより隔週(3日と17日)で送られてきます。
MUNAWARさんはザンジバルに住む30代の女性です。MUNAWARさんへのメールは
こちらまで


便り51「コーヒーの友、甘菓子ベスト3」(2002.10.19)
便り52 「続 コーヒーの友―甘菓子ベスト3」(2002.11.17)


便り51「コーヒーの友、甘菓子ベスト3」(2002.10.19)

ジャンボ! アフリカフェフレンドの皆さん、お元気ですか?

ところで、No.22No.23で、ザンジバルの昔のコーヒー事情をお話しましたが、当時の甘菓子事情は、どうだったのでしょうか?
今回も、バブ・アハメッドことアハメッドおじいさんと、ビビ・ズベダことズベダおばあさんに、当時のザンジバル甘菓子事情を語っていただきました。



まずは、レディースファーストで、ズベダおばあさんから。このビビは、No.23で紹介したとおり、コーヒー好きだった自分のビビ(おばあさん)の影響で、大のコーヒー党になったというコーヒー愛飲歴70年を誇るおばあさんです。

「私がまだ子供だった頃、夕方になると、ビビの家の中には、近所の女性たちが寄り集まってきてね、手足にヒナ(草汁で手足を染めるおしゃれ)をぬったり、ゴザの上でねころんだり、思い思いにくつろぎながら、持ち寄った甘菓子をつまみ、コーヒーを飲んでおしゃべりをしたものさ。



一日の家事から離れて、気の置けない女同士でのコーヒータイム、それが、女性たちの一番の楽しみだったのさ。私のビビ(おばあさん)は人好きだったから、ビビの家にはいつも近所の女性たちが集まっていたよ」

そういうビビ・ズベダの家も、絶えず人が出入りしています。ビビのビビ(おばあさんのおばあさん)は、コーヒーだけでなく、人を愛することも、ちゃんと小さな孫に教えていってくれたのですね。

ところで、当時、女性たちが持ち寄っていた甘菓子は何だったのでしょう?
「とにかくちょっとでも甘いものなら何でもいいのさ。まあ、家で簡単に作れるカシャタ(日本の「おこし」に似たお菓子)が一番多かったね。ゆでたサツマイモや、キャッサバイモとコーヒーもいいものだよ。よく熟したドリアンや干しマンゴーもいけるよ」

「コーヒーに合わせる甘菓子としては、テンデ(なつめやしの実)やハルワ(練り菓子)が最高だけど、家では作れないし、今よりずっと高級だったから、冠婚葬祭などの特別な日にしかなかなか口には入らなかったね」

「何にもお菓子がないときは、砂糖を皿に入れて、指につけてぺろぺろなめながらコーヒーを飲んだものさ。」

砂糖をなめるぐらいなら、砂糖をコーヒーに混ぜればいいと思うのですが、
「コーヒーに砂糖を入れるなんて、とんでもない。コーヒーはあくまで苦くてさっぱりしたもの。紅茶は砂糖を入れて甘くして飲むもの。甘いコーヒーなんて、コーヒーじゃないよ」
とのこと。



ザンジバルの人々にとってのコーヒーは、日本人にとっての緑茶のような飲み物なのでしょう。私たちだって、煎茶がいくら苦くても、砂糖を入れようなんて思わないですものね。

ということで、今回は、ズベダおばあさんからお聞きした、ザンジバルの昔の甘菓子事情をお伝えしました。次回は、男性代表、アハメッドおじいさんの登場です。お楽しみに。
それでは、今日はこのへんで。次回までお元気で。
GOOD LUCK!!          

BY ムナワル


便り52 「続コーヒーの友―甘菓子ベスト3」

ジャンボ! アフリカフェフレンドの皆さん、お元気ですか?

ザンジバルは、じりじりと照りつける太陽の下、ラマダーン(断食月)に入っています(ラマダーンの様子は、NO20、21をご覧ください)。

ラマダーン中は、日の出から日の入りまでの飲食を禁じられているのですが、この暑さでは、食べることができないことより、水が飲めない方が大変です。でも、その分、日の入り後、その日初めて飲む水のおいしさと、ありがたみは、普段では絶対に味わえないものですけどね。

さて、前回は、ザンジバルの昔の甘菓子事情をズベダおばあさんからお聞きしましたが、今回は、男性陣代表、79歳のアハメッドおじいさんの登場です。



アハメッドさん、今日は、ザンジバルの昔の甘菓子事情を教えてください」
とお聞きすると、

「今のコーヒー屋たちは、自ら甘菓子を用意して、コーヒーと菓子の両方を売っているようだが、本当にうまいコーヒーには、菓子なんて必要じゃないし、自分のコーヒーに自信のある本物のコーヒー屋は、菓子など持ち歩いたりしないものだ。
だから、昔のコーヒー屋たちは、コーヒーと椀だけを持って、堂々と歩いていたよ。そして、我々男たちも、甘菓子なんかなしで、うまいコーヒーを楽しんだものさ」
と、初っ端に返ってきたのは、「このわしに、甘菓子のことなど聞きおって」と、少々憮然としたアハメッドおじいさんの返事。

どうやら、本当のコーヒー好きならば、甘い菓子などつままず、「男は黙って、ブラックコーヒー」ということらしいのですが、それでもさらに聞いてみると、コーヒーに合う甘菓子の代表は、
1にテンデ(干したナツメヤシの実)、2にハルワ(柿羊羹風味の練り菓子)、3、4がなくて、5にカシャタ(干菓子)」だそうです。


ハルワ
テンデはザンジバルにはなく、アラブから輸入される高級菓子で価値があり、ハルワは練り具合をはじめ、その職人の技量によって味に差があり、家庭ではできないものだからやはり価値があるが、カシャタは、家庭でも気軽にできる菓子だから、ちょっと価値が下がるとのこと。

職人が入れるうまいコーヒーには、「神が人間に与えてくれた最高の贈り物」と言われるテンデ(なつめやしの実)か、熟練した職人にしか作れないハルワがベストなのだそうです。こだわりのコーヒーには、こだわりの甘菓子といったところでしょうか。
 
ということで、ビビ ズベダと、バブ アハメッドのお二人に、往年の甘菓子事情を語っていただきましたが、ザンジバルの人々が、コーヒーに合わせて食べる甘菓子のベスト3が、テンデ、ハルワ、カシャタであることは、今も昔も変わりません。


カシャタ
特にラマダーン(断食月)中のコーヒー&お菓子タイムは、ザンジバルの人々にとって、欠かせない楽しみなので、この時期には、島中どこもかしこも、テンデ、ハルワ、カシャタのオンパレードになるほどです。

ところで、日本には、お菓子が星の数ほどありますが、アフリカフェに合う日本のお菓子ベスト3をあげるとしたら、何でしょう? ぜひ、あなたのご意見聞かせてくださいね。

それでは、今日はこのへんで。
次回の便りまで GOOD LUCK!!  

By ムナワル



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