タンザニア便り '01年3月
便り26「びっくりバナナ大賞」(2001年3月18日)
便り25「バナナ酒ルビシ」(2001年3月11日)
便り26「びっくりバナナ大賞」(2001年3月18日)
ジャンボ!お元気ですか?
日本は春の風が吹き始めましたか? タンザニアはまだまだ乾期の真っ最中で、日差しが和らぐ気配が見られません。
さてタンザニア便り25(前号)で、アフリカフェの故郷ブコバの地酒「バナナ酒ルビシ」を紹介しましたが、今回は、皆さんよくご存じのバナナをテーマにお話しましょう。
アフリカフェの故郷ブコバには、コーヒーと共に、ありとあらゆるところにバナナの木が生えています。今、バナナの木と書きましたが、正確に言うと、バナナは本当は木ではなく、バショウ科の多年草です。でも、高さが1.5から10mにもなる巨大な草なので、やっぱりどうしても、バナナの木と呼びたくなってしまいます。
バナナが日本に初めて輸入されたのは、1906年日清戦争によって、日本の植民地となっていた台湾からでした。その後1950年代には、台湾バナナブームがおこり、バナナの名前が一気に日本に広まりました。その後、台湾バナナに対抗して、勢いを伸ばしたエクアドルバナナに続き、1970年代には、フィリピンバナナが日本市場に踊り出、80年代には市場の90%を独占し、現在も日本市場の70%をフィリピンバナナが占めています。初めの頃は、甘くておいしく、栄養のあるバナナは、庶民にはなかなか手が届かず、栄養を取らねばならない病人への高価な見舞い物に使われたりして、高級感漂う存在でしたが、輸入量が増えると共に値も下がり、バナナの叩き売りに代表されるように、バナナは一般庶民の中で、安くてうまい果物として定着しました。
その後、研究が進む中、ビタミン、カロチン、マグネシウム、植物繊維をたっぷり含み、低カロリーでありながら、エネルギー源としての数々の糖分を豊富に含むバナナは、スポーツ選手にも最適なバランス栄養食であることが証明され、今や、赤ちゃんからお年寄りまで、バナナを食べたことのない日本人などいないほど、バナナは、日本の食生活に深く関わるようになっています。
とまあ、日本で語られるバナナ史は、せいぜいこの100年足らずのことですが、実はこのバナナ、人類最古の果物と言われるほど、長い歴史を持ち、人類と、実に深い関わりをもつ果物なのです。バナナは、赤道の南北ほぼ30度以内に位置する熱帯の土地で育つ果物で、原産地はコンゴ、インドの2つの説があり、紀元前5000年から1万年も前から栽培されていたと言われています。
日本では、黄色く甘い生食用のバナナしか見ることができませんが、タンザニアの市場には、ざっと見ただけでも10種類以上のバナナが売られており、日本から来る人は、「バナナにこんなに種類があるなんて思わなかった」と、皆一様に驚いています。
朝早く市場に行くと、あちこちのシャンバ(田舎)からトラックやリヤカー、自転車で運ばれてきた様々なバナナが無造作に山積みされています。色や形状が同じように見えても、微妙な形、色、房のつきかたなどで種類がわかるそうで、私も、個人的にバナナ先生と呼んでいるバナナ屋のフセインに何度も見分け方を教えてもらうのですが、いざ、リヤカーなどに何種類ものバナナが入っていると、もうお手上げです。やはり餅は餅屋、バナナはバナナ屋が一番詳しいということですね。
私が選ぶタンザニアの『びっくりバナナ』大賞は、1本の長さが40から80cmもあり、スワヒリ語で「象のペニス」と異名を取る巨大料理用バナナと、「白人」と呼ばれる赤色の生食用バナナ。どちらも、今まで自分が持っていた、バナナに対するイメージを覆すに値するインパクトがありました。1本が、80cmもあるバナナって、皆さん想像できますか?
そして、料理用の青く固いバナナは、加熱調理すると、芋そっくりの食感になり、初めてザンジバルで、青バナナのココナッツ煮を食べたときは、「これが、本当にバナナ?」と、バナナに対する味覚のイメージが覆されました。でも、初めて日本に渡ったアフリカフェは、逆に、日本のバナナの種類が少なくて、びっくりしているかもしれません。
ということで、きょうは、バナナについてあれこれ書いてみました。
それでは、次回のタンザニア便りまでお元気で。
あなたの健康と幸福を、ザンジバルの真っ青な空の下より祈っています。
GOOD LUCK!!
BY MUNAWAR
便り25 「バナナ酒ルビシ」(2001.3.11)
ジャンボ!お元気ですか?
日本は桃の節句、ひな祭り。私はひな祭りというと、「お雛様は2月の風にあてなくては」と言いながら、2月に入ると早々にお雛様を飾り、3月3日が終わるや否や、「雛人形は華やかだから、もう少し飾っておいたらどうだい」という父の声を「お雛様をしまい遅れると、娘が嫁に行き遅れます」と一言で却下し、電光石火で雛人形を片付けていた母の姿を思い出します。私がどうやら行きそびれることなく結婚できたのも、毎年母が急いで雛人形を片付けてくれたおかげなのかもしれません。
ところで、ひな祭りといえば白酒ですが、きょうは、アフリカフェの故郷ブコバの地酒ルビシについてお話しましょう。
ブコバは、コーヒーと並んで、バナナの名産地でもあるのですが、ここではお酒までバナナから作られています。まずは、ブコバの地酒ルビシの作り方から。
バナナ酒ルビシの作り方
1.ムクンディという種類のバナナを、青く固いうちに房ごと切り取り、1週間ほど地面に掘った穴の中に入れておく。
2.1週間ほどしてバナナの表面が黄色くなったら、土から出し、皮を剥いて木の容器(丸太をくりぬいて作った臼状の容器)に入れ、上から草をかぶせ、足で踏んでバナナをつぶす。
3.バナナがつぶれてどろどろになったら、漉し器で違う容器に移し替える(このときにできるのが、ムネネと呼ばれる非常に甘いバナナジュース。ブコバ地方では、とても甘いものがあると、「まるで、ムネネのようだ。」と表現します)。
4.バナナジュースの上に、粉状にした粟(醗酵剤の役目)をふりかけ、表面を粟で覆い、ふたをし、そのままの状態で2、3日、日に干しておく。
これで、バナナ酒、ルビシの出来上がりです。出来上がって、2、3日で飲むのが一番うまいと言われており、それ以上日が経つと、醗酵が進んで酸味が強くなるのですが、それがまたたまらなく好きな御仁も多いとか。アルコール度は低く、ビール感覚で飲めるお酒です。
また、タンザニア便り24でご紹介したセネネ(バッタ)と同じく、このバナナ酒ルビシも、作るのは大抵女性の仕事なのに、できあがった酒は、女性も飲んでもいいが、ほんの少しにしておくのがブコバ女性の正しいありかただそうです。
出来上がったバナナ酒を、大小様々なひょうたんの中に詰め、ムリジャという植物の茎をストロー代わりに差し込み、チュウチュウ飲むのが、本場の飲み方です。まだビールもなかった時代には、どの家でもこうやって自家製バナナ酒を作っては、ひょうたんに詰め、男たちは、酒入りひょうたんと、セネネ(揚げバッタ)をどこに行くのにも持参して、誰かに会えば、互いの酒を飲み比べ、ほろ酔い気分になれば、歌を歌うという具合に、バナナ酒ルビシは、長年ブコバの喜びの酒として、人々から愛されてきました。
今は、ビールをはじめ、いろいろな酒が店頭で売られているので、ブコバ名物バナナ酒ルビシは少なくなってきていますが、今でもルビシを愛する人たちは、ひょうたんを持ち歩いています。私も、ブコバ滞在中に、ひょうたんを片手に、ひょうひょうと歩くおじいさんを見かけました。
私は、ブコバでは、「バナナで酒を作る」と聞いて驚いたのですが、ブコバの人は逆に、「日本の酒は米からできている」と聞いて、とてもびっくりしていました。麦からビールやウィスキーを作ることは知っていても、米から酒ができるなんて、聞いたことがなかったそうです。タンザニアには、このバナナ酒のほかに、パパイヤ酒も、ココナッツ酒などもありますが、日本ではどれも、馴染みのないものですね。
タンザニアと日本、酒の原料は違っても、酒を酌み交わせば、より友情が芽生えるのも、酒のみが、新しい酒の話を聞けば、その味を試したくなるのも同じです。
ブコバの人に、日本にも、各地においしい地酒があるという話をすると、「ぜひ一度、日本の地酒を飲んでみたい」と言っていました。皆さんは、ブコバの人々に、日本のどの地酒がお勧めだと思いますか?あなたのおすすめのお酒、ぜひ教えてくださいね。
GOOD LUCK!!
BY MUNAWAR
NO.1「ジャンボ!」(2000.4.15)
NO.2「タンザニアのゴールデンウィークは大雨期の真っ最中」(2000.5.10)
NO.3「ジャンボ、ベイビー! (こんにちは、赤ちゃん)」(2000.5.18)
NO.4「カンガ(布)は語る」(2000.5.25)
NO.5 「日本はぼた餅、タンザニアはタコとサメ!」(2000.6.12)
NO.6「リズム感のルーツは子守唄にあり」(2000.6.28)
NO.7「日本は七夕、タンザニアはサバサバ!」(2000.7.11)
NO.8「アフリカフェの故郷ブコバ」(2000.7.16)
NO.9「アフリカフェの生みの親、TANICA社」(2000.7.16)
NO.10「コーヒーに最適な土地、ブコバ」(2000.7.18)
NO.11「ブコバでは、無農薬が当たり前」(2000.7.18)
NO.12「恐怖のこうもり男」(2000.7.18)
NO.13「小規模だからこそできる有機農業」(2000.9.11)
NO.14「オリンピックって何?」(2000.9.27)
NO.15 タンザニア式炭焼きケーキ(2000.10.8)
NO.16 自然と人間のハーモニー(2000.10.19)
NO.17「アロマティックライフの勧め」 (2000.11.1)
NO.18「アフリカフェ・アロマの秘密」(2000.11.11)
NO.19「続アロマティックライフの勧め」(2000.11.21)
No.20 「ラマダーン風景」(2000.12.11)
No.21「ラマダーン、明けましておめでとう」(2001.1.11)
No.22「バブが語る昔のコーヒー事情」(2001.2.4)
No.23「コーヒー愛飲歴70年、ビビが語る」(2001.2.4)
No.24「セネネ(バッタ)は愛の証」(2001.2.17)
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