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アフリカフェ伝説

アフリカフェの故郷ブコバは、タンザニア、ケニア、ウガンダの国境に隣接するアフリカ三大美湖ビクトリア湖畔の美しい街。そして、ブコバのコーヒーを愛する人々の街です。

ここには、アフリカがまだ各部族によって統治されていた頃、部族の王様たちがこぞってアフリカの真珠といわれるこのブコバの豆を手に入れようとしたという伝説が残っています。
第一回目は、このアフリカフェの伝説について考えてみましょう。

アフリカ大陸では、異なった言語や文化、生活形態を持つ独立した何百もの部族が、それぞれ土地や牧草を求めて移住生活する中で、また新たな民族の交わりや新しい言語の形成を繰り返しながら歩んできました。

アフリカの民は、西洋人が入り込むずっと昔から、サハラ砂漠を越え砂のシルクロードと呼ばれる交易ルート、ナイル川、ザイール川などの大河を使ったルート、ビクトリア湖、タンガニーカ湖などの湖をめぐるルート、そして、インド洋に吹く季節風を利用した海洋ルート等‥を開き、交易の大小は別として、いろいろな形で部族が交わりながら時代が進む中で、言葉や文化だけでなく、交換された産物が、その土地に根付いていくのは当然のことでした。

コーヒーの原産国エチオピアでは、1000年もの昔からコーヒーを飲む習慣があったと言われており、日本の茶道にあたる「コーヒー道」といった感じの「コーヒーセレモニー」と呼ばれるコーヒーをたてるときの決まりごとや飲み方が現代にまで伝えられています。

エチオピアでは初めはコーヒーの葉を煮出して飲んでいたそうで、現代のようにコーヒー豆を火で炒って砕いて煮出すという飲み方は、アラブからの逆輸入だとか。

タンザニアのブコバでは、コーヒーの実をゆでて、そのままかじるという習慣が残っています。また、タンザニアにはブコバの伝説とは別に、コーヒーの実をかじって一晩中眠らずに働きとおしたロバの話(カフェイン効果)などが残っています。

エチオピアから元をなしたアラビカコーヒーも、中央アフリカのコンゴ原産のロブスタコーヒーも、それぞれがいつの時代かは特定できませんが、こうした各部族の交易の中でアフリカフェの故郷現在のブコバ地方に渡ってきたものです。そして、コーヒーの使い方も、その部族によってそのままかじったり、実や葉を煮出したり、現代のように豆(種子)だけを取り出して炒って煮出したり・・・それぞれだったことでしょう。

そしてまた、コーヒーは栽培条件を選ぶ非常にデリケートな植物で、その栽培条件は、人工的には作ることのできない自然条件がほとんどなので、産物の交換によってその味を知った各部族の王様達が、自分の土地で作ろうとしても、その条件を満たさない土地であれば、栽培は不可能でした。
人間は、自分で作れないものほど価値を見出し、ほしくなるもの。

各部族の王様がこぞってブコバのコーヒー豆をほしがったという言い伝えも、アフリカの歴史を考えながら聞いてみると、コーヒーを初めて口にして、その味や効用に感激した王様が、家来に向かって
「なんとしてもこのコーヒーの実をもっとたくさん持ち帰るのじゃ!」
と大声で命令している姿が浮かんでくるような気がしませんか。