「猫町」という不思議なタイトルから、「どんな町だろう?」と思いながらページをめくると、人間不在の、猫だけの写真が続いていた。
写真家土井九郎さんの故郷、徳島の海辺の町に生きる野良猫たちだそうだ。
猫同士、和気藹々っぽい場面 には、聞き耳頭巾を被って、猫たちの会話に混じりたくなったし、毛を逆立たせて、すごい形相で怒っているような猫の場面には、近寄らないでおこうと思ったり☆いろいろな表情の猫が写っていて、ページをめくるのがとても楽しかった。
写真はすべて白黒写真。
カラー写真ですべてが現実どおり見えてしまうよりも、白黒写真だからこそ、より想像力がかきたてられたのかなと思う。
私は、瓦屋根の日本家屋が好きなので、昭和な佇まいの家がある猫写真に惹かれ、とくにぐっときたのが99ページの写真。
気がつくと、ずいぶん長い間そのページをながめていた。
「私は猫好き!」・・・ではなく、どちらかというと犬好きの方だが、この猫町@徳島に住む猫たちには惹かれた。
それにしても、日本の猫たちは、野良でも毛並みが良くて、太っているのが多いなあというのも発見だった。
私の住むザンジバル@タンザニアにも野良猫がたくさん・・・というよりほぼ野良のみだが、やせっぽちで、毛並みが悪いのが多くいるし、中には怪我をしている猫もよく見かける。
これは、ザンジバルの猫たち
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私が長年聴き取りしながら集めている、アフリカの民話にも、猫が出てくるのがあるけれど、猫が飢えてサバンナを逃げ出した話に代表されるように、やっぱりお話の中でも、猫といえば、やせっぽちの野良猫のイメージになっているようだ。
たしかに、日々の食事にも事欠く貧しい生活の中では、ペットとして猫を飼うのは無理だし、それなりに余裕がある家庭じゃないとできないことだもの。
ところで、この「猫町」の版元は、 「アフリカから、あなたに伝えたいこと~革命児と共に生きる」と同じ、かもがわ出版さんで、
装丁は、「アフリカの民話集 しあわせのなる木」(未来社)でお世話になった伊勢功治さんだったので、ご縁を感じて、うれしくなった。
☆伊勢さんには、まだお会いしたことないのですが、すてきな本にしてくださって感謝しています。
「猫町」は、かもがわ出版より、2020年8月に刊行されたばかり。
本を手に取ったら、ページをめくる前に、表紙のタイトル文字、「猫」の「けものへん」にもご注目あれ☆
島岡由美子
猫町
写真 土井九郎 *かもがわ出版
かもがわ出版HPからでも、送料無料です。