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「つぎに読むの、どれにしよ?私の親愛なる海外児童文学」 越高綾乃著 かもがわ出版 の感想

『つぎに読むの、どれにしよ?~私の親愛なる海外児童文学』 を読みました。

本のタイトルどおり、著者の越高さんご自身が、幼少時代から友達のような存在で、何度も読み返してきた海外児童文学が、とっても読みやすい文章でつづられていて、楽しく読み進めることができました。

紹介されている海外児童文学の中には、私自身もなつかしいタイトルも出てきて、久々にそれらの本の場面をあれこれ思い出したり、また越高さんの文章で、へ~、そんなところまで覚えておられるんだと感心したり、そんな読み取り方もあったのねと発見もありまし、巻末の石井登志子さん(翻訳家)との対談も興味深かったです。

また、読んだことのない本の紹介では、おもしろそう!これ読んでみたいなあって感じました。
(特に、『くまのパディトン』、『思い出のマーニー』、読んでみたい!!)

***海外児童文学で大切な、日本語訳***
本文の中に、ある本の英文についての翻訳の仕方(日本語のニュアンス)について論じられている箇所がありましたが、児童文学において、訳者の感性も、とっても大切なんだなってあらためて感じました。(言葉も変化しますから、訳すときの時代もあると思いますし)

心に焼き付く海外児童文学は、翻訳された日本語の文章自体も、読み手、聞き手の子どもたちの目にも耳にも、とっても心地よいからなのでしょうね。
思い返せば、私も大好きな本の一部を今でも覚えている箇所がありますが、原文が、日本語として訳されたときの、その日本語の美しさや韻の心地よさが、子ども時代の私の心に響いていたからなのでしょう。

***外国の お菓子や料理をイメージする楽しさ***
あと、もともと食いしん坊の私にとって、海外児童文学の楽しみの1つは、本の中で出てくる、知らない料理やお菓子がどういうものかを想像することでした。
マジパン クリスマスプティング・・・想像すらできないけど、なんだかものすごく美味しそうな感じがしていました。
越高さんも、お話の中に出てくるお菓子を再現したり、料理を想像したりされていたということが書かれていて、とっても共感を覚えました。著者紹介のお写真も、おばあさま手作りの西洋風の大きなエプロンとボンネットハットをかぶった場面でほほえましかったです。きっとこの格好で、外国のお菓子を再現されていたのでしょうね。

ちなみに、この本の中で紹介されている、インガルス一家の物語『大きな森の小さな家』は、ザンジバルまで持ってきていますので、久々に読み返してみたら、ここにも、スゥエーデン式ビスケット、糖蜜入りの豆、ヴィニガー・パイ、雪の上で作るキャンディ・・・わくわくするお菓子や料理の名前がいっぱい出てきました!

***クローブが、今では身近なものに***
きわめつけは、
『・・・イライザおばさんが あかいりんごに、ちょうじのつぼみをいっぱいつきさしたのをもってきれくれました。そのいいにおいといったら! そんなのいっぱいクローブがさしてあると、リンゴはいつまでもくさらないし、あまいままでいるのです』
というところ。

ちょうじ(丁子=クローブ)は、つぼみの時に摘み取って、乾燥させて作るスパイス、香りも高く強い殺菌作用があるので、世界中で、香辛料、薬用として使われていますが、私の住むザンジバルは、クローブ輸出が世界の80%のシェアを占めていた時代もあるほどクローブの名産地なのです。

なので、クローブの独特の酸味を伴う芳香もわかります。(ザンジバルMIXスパイスの中にもクローブが入っていますし、我が家にもクローブは欠かせない香辛料の1つですから)
なので、おお、インガルス一家にも、このクローブの香りがただよっていたんだって想像できて、うれしくなりました。
子どものころは、わからないままスルーしていたことも、大人になって読み返すと理解できることも多いものですね。

***アラブの甘い麺のお菓子***
ちなみに、私は子どもの頃から、外国の民話にも興味があったのですが、アラビアンナイト(千夜一夜物語)に出てきた、「麺に砂糖をまぶしたお菓子」という一言がすごく気になっていましたが、大人になって中東のオマーンに行ったときに、そのお菓子に遭遇して、「おお、これだったのか!!!」と大変感激したのを覚えています。
また、もともとオマーン国の一部だった時代のある、ここザンジバルでも、焼きそばに砂糖とクローブをまぶした料理が存在するのです。(この味付けは、苦手ですけど)

***続編にも期待します!***

海外児童文学といえば、この本には載っていないものの、『くまのこウーフ』 『スプーンおばさんの冒険』『楽しいムーミン一家』などが、私の頭には、挿絵とともに、なつかしく本のシーンが浮かんできます。
ちなみに、ムーミン好きは、大人になった今も変わらず、数年前に、フィンランドのムーミン博物館まで行く機会があり、トーベヤンソンさんの直筆原稿に、心震えました。
(内容は理解できなかったのですが)

海外児童文学は、日本以外の世界を知ることにつながるし、外国の人たちが身近に感じられるようになっていいものですね。

きっと、著者の越高さんも、まだまだ紹介したい、思い出いっぱいの大好きな海外児童文学がたくさんおありだと思いますので、ぜひ続編も出て、たくさんの海外児童文学を、あらためて紹介していただきたいです。

                            島岡由美子

『次に読むの、どれにしよ?~私の親愛なる海外児童文学』 越高綾乃 
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