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「それでもパレスチナに木を植える」 「パレスチナのちいさないとなみ」 高橋美香著 感想

著者 高橋美香さんのことは、ご著書の「パレスチナの小さないとなみ」が、拙著「アフリカから、あなたに伝えたいこと」の姉妹本として、かもがわ出版から先に出ていたのがご縁で存在を知り、美香さんのツィッターの発信を目にするようになって、足かけ2年になりました。
(お会いしたことはないのですが)

私はここ数年、中東(オマーン、アラブ首長国連邦、サウジアラビアなど)に行く機会も増えていますが、ドバイで パレスチナ産のデーツ(干なつめやし)を見つけたとき、おお、パレスチナの製品だ!となんだかうれしくなりました。

それは、きっと、「パレスチナの小さないとなみ」で、厳しい条件下で野を耕し、オリーブを始めとする農作物としての木を育てる人たちの様子を知ったからこその感情だったと思います。
ちなみに、パレスチナのデーツも、おいしかったですよ。
実際に行ったことはなくても、本を通してその国や土地に生きる人々のことを知ることや、その国や土地の産物や製品を通しても、身近になっていきますね。
という感じで、「パレスチナの小さないとなみ」は拝読していましたが、如何せん、パレスチナについて私自身が無知過ぎて、高橋さんが発信されるたびに流れてくるツィッター記事を、斜め読みするだけで過ぎていました。
が、あまりにもその発信内容が真剣なので、ちゃんと知ろうとしないで流し読みしていては失礼だなという気持ちがしてきたので、別のご著書、「それでもパレスチナに木を植える」を日本から取り寄せて読んでみました。

そこには、高橋さんが、実際にパレスチナの人々と生活する中で見た、感じたパレスチナ人の家族のこと、イスラエルとの関係も含めて、よりリアルに、素朴に、正直に書かれていました。
たくさんのご友人や、自分の家族(お父さん、お母さん、兄、弟、妹・・・)とお呼びになる方々に至るまで、大勢の人物が登場するのですが、ところどころに入っている写真に、お名前が書いてあるので、高橋さんを通して、友人や親せきを紹介してもらっているような気持になったのです。 
バラの花を差し出されたときのエピソードもすごく心に残りましたし、アハマドさんが返還さて整地しなおした土地は今はどんな作物が育っているかな、とか、漬物屋さん、お元気かしらという気持ちになります。
とはいえ、笑顔で写っている写真の人たちのエピソードが、楽しく明るい話題だったわけではありません。むしろ、パレスチナ人として様々な思いをもって生ききる中、ひどい差別、理不尽な暴力や強制退去、将来の夢を壊され、中には障害を負うだけでなく、亡くなられた(殺されてしまった)人たちも・・・。
私がとても印象に残ったのは、たった一家族で、入植者たちのエリアに取り残されていたナーセルさん。 「取り残されている」というよりも、その地域からの撤退を要求されても、自分の祖先の時代からの土地であり自分の家だからと、隣人たちが、嫌がらせや暴力によって、次々に引っ越していくのに、彼だけが残り、私はここで生きていく と淡々と言っている記述がありました。
とはいえ、そのエリアでおこなわれている暴力や嫌がらせの内容は、絶句するほどむごいので、恐怖が植え付けられていくものだと想像し、美香さんのリアルタイムでの発信記事を読むたびに、眼光鋭い立派なお顔のナーセルさんは大丈夫かしらと思う自分がいます。
それだけ、この本を読んだことで、高橋さんが撮った写真と、書かれた本の文章で、私の頭にお顔と一緒に焼き付いていたのでしょうね。
そのように、縁もゆかりもないパレスチナの人たちを、高橋美香さんを通して身近に感じるようになる、そんなご本でした。

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暴力や理不尽なおさえつけ、不正選挙に不正な拘束、強制立ち退き 突然ブルドーザーで家を壊される、そういったことは、私が住むザンジバルでも、アフリカ各国でもたくさんありますので、よく理解できます。
何が正しいのか、とか、正義はどこにある ということと、現実の在り様が一致しないことが、世の中にはたくさんあることも。  
 
たとえば、一見平和そうに見えるここザンジバルでも、5年に一度のザンジバル大統領選挙は、大荒れになり、流血が必至ですし、正しい選挙がおこなわれたことは、少なくともこの25年、一度もありません。
いくらザンジバル国民が投票しても、結果が発表時に覆されるのです。投票に至るまでにも、様々な妨害や暴力行為がなされます。
(そういったことは、拙著「続・我が志アフリカにあり」をご参照ください。)
ただ、アフリカ各国で、植民地から解放され、新しい国として独立して半世紀以上たつ現代にいたってまで、植民地化に伴う圧政、様々な抑圧による苦しみや怒り、あきらめ、悲しみ、様々な痛みが続く人生を強いられている人たちが、まだ世界にはいるということから目をそらさないで生きていくということが、同じ地球に生きるヒトとして大切なことだと思います。
高橋美香さんのご本「パレスチナの小さな日常」(かもがわ出版)に続き、遅ればせながら「それでもパレスチナに木を植える」(未来社) を読んで、今まで知ろうとしなかったパレスチナに関して、考えるきっかけとなりました。
2冊とも、特に、私のように、そもそも知らない方にこそ読んでいただきたいなと思います。
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今日の本の記念写真は、かもがわ出版の「世界を知るシリーズ」、姉妹本、兄弟本でパチリ。

★カンガのことばは、「神様は、誰にでも平等に与えたもう」
                         
                           島岡由美子

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