2008年8月号のアフリカ民話は、「ビホーレ伝説」。
今回は、ザンジバルで、広大な土地と多くの奴隷を所有し、奴隷貿易によって富を築き、さらに自分好みの奴隷とのジキジキ(セックス)に溺れ、あきると殺すというむごいことを繰り返した女性ビホーレにまつわる伝説です。
★この民話は、朝日新聞社HP「OPENDOORS」の[一冊の本]紹介ページより、ネット上からも読めます。
(*「一冊の本」紹介ページを開いたら→「最新号」をクリック→「目次ページ」→「アフリカから」の記事に進んでみてください)
アフリカの多くの人々が奴隷として捕えられ、アメリカ、ヨーロッパ、アラブ諸国などに売られていったことは、今でも、アフリカの人々の心に重くのしかかっている歴史的事実ですが、私の住むザンジバルも、かつては奴隷貿易港として栄えていた島で、今でも奴隷市場や奴隷を閉じ込めていた牢屋の跡などがあちこちに残っています。
これは、ビホーレが住んでいた屋敷跡。
屋敷の表門から見える真っ青な空と海と、果物や香辛料の木の緑に囲まれた風景は、そこでかつて、そんな悲惨な出来事が起こっていたとは思えないほど美しく、のどかです。
しかし、この話を思い浮かべながら、崩れかけて珊瑚が剥き出しになっている大きな屋敷の裏門に立って、潮風の音を聞いていると、数百年の時を経て、かつてその場所で殺された奴隷たちの悲鳴が聞こえてくるような気がしました。
ザンジバルでは、歴史教育の中で、極力かつての奴隷とアラブ人の支配関係の問題を避けていますが、ごく少数の熱心な教師たちは、ザンジバルの歴史を語るとき、社会見学をかねて、このビホーレがかつて住んでいたという屋敷跡を訪れ、この話を聞かせているそうです。
もちろん、教師たちは、その歴史を教えることで、黒人vsアラブ人の対立を呼び起こそうというのではありません。
かつてあった奴隷制度という人類の歴史における最大の間違いを、歴史的事実として正しく教えることで、次の時代を担う子供たちが、その間違いを再び繰り返さないためという願いからです。
私も、同じ願いを込めながら、ビホーレ伝説を日本へ向けて発信します。
★「一冊の本」は、朝日新聞社が毎月発行している小冊子で、大きな書店や朝日新聞販売所(ASA)で、無料配布、または、1冊100円で販売されています。
★定期購読→1年間12冊、送料、消費税込みで1000円
*何月号からでも、申し込めます。
詳しくは、朝日新聞社HPOPENDOORSをご参照ください。
★「とりあえず、まず1冊読んでみたいと思われる方は、バラカ・ジャパンにメールでお問い合わせください。
お一人様一回に限り、無料で進呈致します。
「ビホーレ伝説~アフリカの民話」への22件のフィードバック
バラカさん、ジャンボ!
今月のお話は、なんだかすごいですね~。
ビホーレ、実在の人物だったんですね・・・。
この屋敷跡、ブンギというところにあるんですか?ブンギってどのへんでしょう?
日本の昔話は「勧善懲悪」的なものが多く、日本人は水戸黄門のように最後には悪人が懲らしめられる、という話が大好きですよね。一方、アフリカの民話には勧善懲悪的なオチがない場合が多いので、「あれっ?これで終わり?」と思っちゃうこともあります。しかし、日本の勧善懲悪的なオチも、実際は後世になってから教育的意味合いを持たせるために改変された、ということを聞いたことがあります。スワヒリ語で書かれた「浦島太郎」を読んだことがあるんですが、そのオチは私たちが知っているものとは全く違ったんですよ。こういう見方をしながら民話を読ませていただくのも、なかなか面白いです♪
☆yokoさん、ジャンボ!
今月の話は、かなり強烈です。
これが実在した人物の話で、実際に住んでいた家の跡まであると、さらに強烈な印象になりますね。
この伝説は、ザンジバルでは多くの人が語り継いでいますよ。
日本の昔話が、勧善懲悪に変えられたのは、それほど昔のことではないですよね。
現実も、勧善懲悪ではないことが多いものですから、アフリカのお話は現実に沿っているといえそうですね。
☆yokoさん、書き忘れてたことがありました。
ブンギは、ジョゼニフォレストのそばにあります。
バラカさん、ジャンボ!
>かつてあった奴隷制度という人類の歴史における最大の間違いを、歴史的事実として正しく教えることで、次の時代を担う子供たちが、その間違いを再び繰り返さないためという願いからです。
この思いが日本にもあればと思います。
日本でも歴史問題がくすぶっています。
自国なりの見解で負の歴史が語れるようになるのは、いつのことかな?と思います。
☆konekoさん、ジャンボ!
アフリカでは、今も奴隷時代の歴史をひきずり、民族的にも仲良くなれないケースも多々あります。
歴史問題をとりあげるのは、勇気がいることが多いですが、過去の事実に目をそむけてばかりでは、本当の意味での前進はできな気がします。
バラカさん こんにちは
ビホーレのお話、…c(゜^ ゜ ;)ウーン これは
伝説なのか、実話なのか・・・っていう感じですね。
人間は差別が好きなんでしょうね。
でも差別される側の立場に立たないと
その辛さはわからないのでしょうね。
何事においてもそうだと私は思います。
事実を子供に伝えていくことは、
私も記事の中の教師さんやバラカさんと同じように賛成です。
知ること、そして知った上で考えるっていうことが大事ですよね。
☆momoさん、ジャンボ!
ビホーレについては、かなり年数が経っていますので、伝説化されていますが、実際にビホーレという女性がブンギ村に住んでいたのは本当のことのようです。
西洋では、あおひげという女性をたくさん殺す殺人者が登場する怖いお話(ぺローの童話:フランス)がありますが、シチュエーションはかなり違うものの、このザンジバルのビホーレはあおひげの男版といった要素もありますね。
> 事実を子供に伝えていくことは、
> 私も記事の中の教師さんやバラカさんと同じように賛成です。
> 知ること、そして知った上で考えるっていうことが大事ですよね。
↓
本当にそうですね。
いいことだけを伝えるのも、悪いことだけを強調して伝えるのも、判断を誤らせる原因になってしまう気がします。
こんにちは~
本当にあった話なんですね
なんとも怖い話です
残酷なことをなんとも思わないなんて
ふと・・・・
世の中とどこかに残酷な人が存在するんですよね
同じことは繰り返されないためにも語り継ぐことって大切ですよね
バラカさん、ブンギ村の場所を教えてくださってありがとうございました。
手持ちの地図を見ると、確かにBungiという地名があり、「Bikhole Ruins」という遺跡のマークまでありました!
この道、これまでに何度か通ったことがあるのに、こんな伝説の跡があるなんて知りませんでした。今度ザンジバルへ行くときには是非訪ねてみたいです!・・・って、次回行けるのはいつのことやら(涙)
☆づみさん、こんにちは~!
今回は、ほんとに残酷で怖い話です。
だからこそ、悪い歴史が繰り返されないようにという気持ちを込めて、伝えたいお話の一つです。
ほんとに、どうしてこんなに残酷なことができてしまうのだろう?と疑問に思うほど、残酷なできごとってたくさんありますよね。
奴隷が売買されていた時代は、奴隷側には何も言う権利などなかったでしょうから、支配者側の残酷さもよりエスカレートしていったのだと思います。
人間は、権力や支配力を持つと、時に至極残酷になる面もありますからね。
☆yokoさん、ジャンボ!
わざわざザンジバルの地図を確認されたのですね。
遺跡といっても、ほんとに何もない草っぱらにぽつんと朽ちた建物の残骸があるというだけなので、ビホーレ伝説を知らない人は、何もわからないと思います。
(ツーリストは、ほとんど行かない場所です)
いつの日かまたザンジバルを訪問される折には、ブンギにも行ってみてくださいね。
バラカさん、ジャンボ!
人を人と思わぬ歴史はどの国でもあるのですね。
今の時代でも大なり小なり、みな同じになれない人間の醜さが問題になる国もありますよね。
過去から学び、人の尊厳はみな同じように守られる世の中を願います。
事実を知る、そして伝えてゆくことは大切だと思います。
バラカさん ジャンボ!
昔の事とは、言っても悲惨・残酷な出来事ですよね
今じゃ本当に穏やかで奇麗な景色なのに・・・。
☆harumiさん、ジャンボ!
ほんとうに、どの国にも、いいこともあれば、悪いこともありますね。
いいことも悪いことも、過去の事実として知り、ゆがめずに伝えていけるといいなと思います。
☆tukushiさん、ジャンボ!
アフリカでは、奴隷時代が終わっても、すぐに植民地時代が来たので、不当に虐げられ支配され続けた過去の歴史は、さほど昔々ではないところにあります。
本当に、今の穏やかな景色からは想像できないような過去ですよね。
アフリカの国々ではどこでもあったようなこどですよね。
ホント今から考えるとひどいことです。
でも、その事実を隠すのではなく現実にあった歴史として教えていくことも大切だと思いますね。
そうやってそのようなことを繰り返さないように子供に教えていくことが重要かなって思います。
屋敷跡が残っているということは
ビホーレは実在したのですね?
天寿を全うしたとのこと、誰も諌める人が居ない環境だったのですね。
恐ろしい時代です。
でも、今も暴君のに苦しめられている国はありますが・・・。
りらっくまさん、ジュマさん、ジャンボ!横レス失礼致します。
バラカ(・タンザニア)は、現在ザンジバルを離れており、インターネットにアクセスできない状況です。コメントのお返事に少々お時間をいただきますが、どうかしばらくお待ちくださいね。今のところ、停電はないようですので、ご安心を~!
今回のお話は残酷で、私もびっくりしました・・・そしてこれが、おそらく本当の出来事で、おそらく、もっと残酷なことも、たくさん起こっていたのだろうな・・・と考えてしまいます。
☆りらっくまさん、ジャンボ!
レス遅くなってごめんなさい。
さて、今月号の民話はほんとにひどい話ですが、アフリカでは奴隷や植民地時代のことをひきづっていない国はないですし、バラカジャパン河野のいうように、もっとひどいこともたくさんあったと思います。
>でも、その事実を隠すのではなく現実にあった歴史として教えていくことも大切だと思いますね。
>そうやってそのようなことを繰り返さないように子供に教えていくことが重要かなって思います。
↓
ほんとそうですね。
そして、アフリカの今や未来について、みんなで前向きに考えていきたいですね。
☆ジュマさん、ジャンボ!
レス遅くなってすみません。
ビホーレは実在の人物です。
当時は、こうした異常なことが平然と行われてしまう時代だったということなのでしょうね。
人を家畜のように売買していたのですから、本当に恐ろしい時代です。
>でも、今も暴君のに苦しめられている国はありますが・・・。
↓
確かに、暴君はいつの時代にもいますね。
バラカさん、お元気ですか?
大坂は外出するのにも勇気がいる有様ですよ。まあ、今日は久しぶりに雲行き悪く、今にも雨が降り出しそうな気配ですが・・・
「ビホーレ伝説」を読ませていただきましたが、情けない話ですね。
彼女の心がいかにすさんでいたか想像してみました。
何も不自由がなかったはずなのに、まわりの人をいけにえにして、自分のエゴを押し付け、心を満たそうとしたのでしょうか。
気高い奴隷と、惨めなビホーレ・・・それが私の受けたイメージです。
そうだ、上本町のアフリカ絵画展
、まじまじと見せていただきましたよ。
とても刺激になりました。
ありがとうございます。
☆megさん、ジャンボ!
大阪は暑そうですねえ。夏バテしないよう気をつけてくださいね。
私の方は一番過ごしやすい季節に入っていて、元気に過ごしています。
>気高い奴隷と、惨めなビホーレ・・・それが私の受けたイメージです。
↓
いくらお金があって、奴隷をあごで使い、人の生死をも自由にできる力を持ちあわせたといえど、megさんのおっしゃるように、ビホーレは、幸せとはほど遠く、みじめな感じがしますね。
上本町でのティンガティンが展、観に行ってくださったのですね。
どうもありがとうございました。
トールペイントをされるmegさんが、どんな感想をお持ちになったか、とても興味あります☆