ある日、突然、公園に捨てられた白ネコさんのおはなしです。
人間の家でかわいがられて育った白ネコさんが、捨てられたとたんに、
厳しいサバイバルの環境に放り込まれてしまいます。
腹がすいても野良猫同士の生存競争に負けて、
飢え、泥水をのんでお腹をこわし、
どんどんやつれていく白ネコさん、
優しいと信じていた人間にすがろうとすれば、
けとばされ、その恐怖とショックで、夢中で走って逃げている間に、
自動車にはねられ大けがを負ってしまいます・・・
それでも、また迎えに来てくれるかもという 一縷の望みで必死で公園に戻ったときには、かわりはててボロボロの姿になっていました。
薄れゆく意識の中での、白ネコさんの最後の望みは、きれいな水がのみたい・・・
悲しすぎる終わりに、読み終わって、心がず~~んと沈みました。
でも、これは、絵本の中のことではなく、
どこでも起きている捨て猫たちが直面している、現実。
ネコさんだけでなく、犬、鳥、亀、魚、・・・どんなペットでもそうですよね。
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私は、高校時代に、真夏の公園で、雨に打たれてボロボロになった段ボールの中で、よれよれになっていた捨て犬(子犬)を拾って、家に持ち帰ったことがあります。
でも、家ではどうしても飼えなくて、友人に頼み込んで、半ばおしつける形でもらってもらいました。
自分で飼うこともできないのに、単なる憐憫で拾ってしまった捨て犬を引き取ってくれて、その日から十数年も愛情を注いでかわいがってくれた友人とご家族には、感謝してもしきれないです。
この場をかりて、一言、『くんべ、ご家族の皆さん、本当にありがとうございました!!』
・・・でも、あのとき、この友人がもらってくれなかったら、私は一体どうしていただろうかと、この絵本を読んで、あらためて考えてしまいました。
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また、私が住む、ザンジバル@タンザニアにも野良猫がたくさんいます。
ザンジバルの、のんびりした風景に溶け込んで、かわいがられている野良猫もいますけれど、人間によって、石を投げられたり蹴とばされたりしたり、猫同士のサバイバルの中で、ひどく傷ついた猫もたくさんみます。
(注*太い鎖は、ネコについているのではなく、水道管に設置されたポンプの盗難防止用の鎖です)
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オールドタウンでおこなわれた結婚式(野外)
御馳走が配られだしたら、ネコたちがどこからともなくやってきて、
最後は、この何倍もの猫が集まっていました!!
私がザンジバルに住み始めた30年ぐらい前には、こんなにネコはいなかったのですが、特に観光客の多いオールドタウンの中では、どんどん増えていて、猫がうじゃうじゃいる場所が数か所あります。
また、ザンジバルというのは、ウングジャ本島(オールドタウンなど観光名所も多い島)と、ペンバ島の2島で成り立っていますが、ペンバ島はこんなにネコが増えてはいないので、やはり、オールドタウン内では、野良猫を集めて餌をあげる人(けして飼うことはしないのですが)がいるからなのかな???
捨て猫(犬)、野良猫(犬)は、どこの国でも身近な問題ですね。
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うすいあさみさんの、優しくも、とぎすまされた文章と、 獣医師として猫の避妊手術を推奨し、捨てられた動物の保護活動をしておられる橋本エリコさんの美しい絵とで完成した、「捨て猫(動物)するべからず」という警鐘をこめた絵本。
お子さんと一緒に、この絵本を通して、動物を飼うこと=その動物の命を預かること について、考えていただけたらといいなと思います。
島岡由美子
『あるすてねこさんのおはなし』
はしもと えりこ:絵・うすい あさみ:作
かもがわ出版 本体価格1,600円+税
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獣医師が描く切実な命の物語
ある日、突然、捨てられて、ひとりで生きなければならなくなった白猫さんのお話です。
猫もあなたと同じ、悲しい、寂しいと感じる、お腹も空く。
子どもたちがそれを知るだけできっと世の中は変わります。
「あるすてねこさんのおはなし すて猫 野良猫」への1件のフィードバック
☆☆☆様
拍手コメントありがとうございます。
レスが遅くなってすみません。
>生き物の中で一番残酷な生き物は人間だと思います
↓ ↓
そうかもしれませんね。
自然の掟の中で、生きていくための必要最小限の殺生しかしない野生の動物たちに比べたら、私たち人間は、様々な残酷な行いしていますものね。