暑中お見舞い申し上げます。
今日の便りでは、アフリカから飛び出して、ジョージアに行ったときのことを少々。

<ジョージア州@アメリカではなく、コーカサス地方のジョージア国です>
ジョージア国は、アメリカのジョージア州の方ではなく、ヨーロッパとアジアの境目にあり、北はロシア、南東はアゼルバイジャン、南はアルメニアとトルコと接し、西は黒海に面しています。 人口約372万人、国土は北海道ぐらいの大きさです。
旧ソ連から独立して30年余り、60代以上の人たちはロシア語が話せるけれど、若い世代は、ジョージア語教育なので、ロシア語を話せる人が減っているとか。
そのうえ、思っていたより英語が通じず、書き言葉もなじみのないジョージア文字と徹底していたので、ジョージアではレストランのメニューを見ても、一つも解読できずに四苦八苦しましたが、それもまた楽しい思い出です。
<ジョージア語への強烈なアイデンティティ>
また、ジョージア人にとってのジョージア語は、かつてロシア帝国に制圧される中で、ロシア語を強要されジョージア語教育は禁止されたそうです。
そして、続くソ連も同じくジョージア語を禁止したのですが、ジョージア人たちはそのことに強く反発し、ソ連の憲法の中で、「ジョージアには、ジョージア語という言語がある」ことを認めさせたのだそうです。
それほどジョージア人にとってのジョージア語は、自らのアイデンティティと誇りにつながっていることを知ると、旅行者としてジョージアに行って、メニューが読めなかったことなんて、なんでもないなって思ってしまいます。
日本だって、英語のメニューがおいてないところのほうが多いですものね。
ジョージア文字は、一言もわからないし、読めないけど、なんだか、丸々っとした感じが絵文字みたいでかわいかったです♡

<母国語を話し、教育できること>
ザンジバルに住む友人のロシア人に、ジョージアに行って言葉がわからなかったことを伝えると、
「ジョージア人はロシア語を話してもジョージア訛りがあって、すぐにわかるんだよ」って言ってました。
ジョージアの人たちにとっては、ジョージア語ファーストだから、ロシア語にジョージア訛りが残っていたって、それでいいのだ!って感じなのでしょうね。
日本語を奪われたことがない日本人には、日本語オンリーで読み書きができて、学校でも日本語で教育できる環境のありがたさがわからないかもしれませんね。
アフリカ大陸でも、長い奴隷時代、その後の植民地時代に 多くの国や民族の言葉が、宗主国の言語を強要され、母国語の教育を禁じられる中で、言語自体が消えていった(話せる人がいなくなって という意味)という歴史も忘れてはいけないなとジョージアであらためて思ったことでした。
<ロシア国境までの軍用道路を通って>
首都トリビシから車で5時間、ロシアとの国境カズベキまで移動し、天国に一番近いといわれる教会まで行ってきました。
軍道路と呼ばれるくねくねのカーブが多いこの道は、ソビエト連邦時代に、ロシアに物資を輸送するために作られた軍用道路。
ジョージアが独立して30年以上たった現在でも 軍用道路の名称はそのままで、ロシアに向けてジョージア、キリギスタン、トルクメンスタン、ウズベキスタン、トルコ、アルメニア、アゼルバイジャン、などなどのトラックが列をなし、国境検査待ちで並んでいました。
その数は百台二百台の単位ではなく、何千台だよとドライバーさんが言っていましたが、延々と続くトラックの光景はけしておおげさではない数に感じました。
そして、突如あらわれた 大きな壁画。
これは、ジョージアとロシアの友好の壁だそうです。 そして、この壁画の向こうには、絶景が広がっていました!

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てっきり、向こうに見えるシマウマのようなかっこいい山が、この日の目的地のカズベキ山だと思って、バチバチ写真を撮っていたら、ドライバーさん(島岡会長の隣の大きな人)が、「カズベキ山は、まだ先だよ」というではありませんか!!
「早く言ってよ」て感じで、また車に乗り込みました。
<カズベキ山と、天国に一番近い教会>
またまた、くねくねカーブだらけの軍用道路を通り、カズベキ山(標高5,047m)のふもとの町ステパンツミンダについたのは、トリビシを出て5時間半後でした。
このカズベキ山は、ジョージアとロシアの国境にある休火山で、ジョージア人にとっての富士山のような存在で、ジョージア人から愛されている山だそうです。
ここでは、「天国に一番近い教会」と呼ばれるゲルゲティ三位一体教会(ツミンダ・サメバ教会)に行ってきました。
なんと、この教会は、標高2,170mの山の頂上にありました!




重たい石を山の上まで運んで教会を造る作業はどれほど大変だっただろう? それを思ったとき、山形県にある山寺を思い出してしまいました。
修行や信仰のためとなると、人はできるだけ現世と隔絶され、天空に近いところを目指すものなのでしょうか。


この一帯の山はすべてがコーカサス山脈で、富士山を軽く超す4000メートル級の山が連なっている様は、壮大で、むかしむかし、地理の時間で習ったコーカサス山脈にいるんだということに感激しました。 カズベキ山は三番目に高いそうです。



日本だったらもっと柵をあちこちに立ててしまいそうな場所でしたが、柵はほんの一部のみ、
私たちが教会から降りてきたころには、雲がかかって、何も見えなくなってしまったので、一瞬でも山の頂が見られてラッキーでした。
翌日は、朝から雲に覆われていてカズベキ山は全然拝めなかったのですが、夕方になって、ほかの山々は雲に隠れていたのに、カズベキ山だけが雲から顔を出してくれました!

と思っていたら、この神々しいマジックアワーの風景が見られたのは、すでに夜の9時でした。ヨーロッパと同じく、夏は日照時間が長くて一日が長かったです。
山の天気は気まぐれで、3日間の滞在で、カズベキ山の頂を拝めたのは2回、どちらも短い時間でしたが、美しい山で壮大な景色に、大自然にいだかれた気持がして清々しい気持ちがするとともに、真夏でも雪に覆われたその厳しい山の表情に、心引き締まる思いもしました。

長年、常夏で美しい海に囲まれた、ぺっちゃんこの島ザンジバルに住んでいるので、時々無性に山が見たくなりますが、ジョージアでは山の景色を堪能できました♡
<ワインとおいしい料理もたくさん!>
ところで、ジョージアはワインの産地としても有名ですね。産地としてだけではなく、ワイン発祥の地といわれているとか。

おいしい料理も、いろいろありました!

ということで、今日の便りでは、ジョージアにとって富士山的な存在のカズベキ山をはじめとするコーカサス山脈の絶景をお伝えしました。暑い夏2025が始まっていると思いますが、雪のある風景で、涼しい風を感じてください。
次の便りでは、8000年(紀元前6000年)前から始まったとされるジョージアワインと、料理の話題をお届けしますので、お楽しみに。
島岡由美子