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私の愛読書～「フイチンさん」と「ぼんこちゃん」

2008-04-19
1:30 am
バラカ・タンザニア

漫画家上田としこさんの訃報（90歳）を、今日知りました。
上田としこさんの代表作「フイチンさん」と「ぼんこちゃん」「お初ちゃん」は、私が大好きな漫画です。
もちろん、どちらも、時代的には私が生まれる前の人気漫画で、連載中にオンタイムで読んだのではありません。
漫画を全く読まない母が、小学生だった私に、珍しく薦めたマンガということで興味を持ち、文庫本を手に入れました。
「フイチンさん」と「ぼんこちゃん」に至っては、子供のころから今までに、何回読み返したかわかりません。
いつの間にかカバーもなくなり、古くなってしまったけれど、どうしても手放せないまま大人になり、結局、ここタンザニアまで持ってきています。
私は、本も、漫画も大好きです。
マンガでも、心に深く残る作品はありますよね。
ちなみに、漫画は「マーガレット」派でした。（←今もあるのかな？）

貧しい中国娘（クーニャン）フイチンさんの、父親思いで、明るく朗らかで優しいキャラクター、「ぼんこちゃん」の天真爛漫でマイペースなかわいらしさ、そして、ぼんこちゃんの健やかな成長を願う周囲の人たちの惜しみない愛情・・・どれも根底には、作者と登場人物たちの思いやりをいっぱい感じる作品で、何度読んでも心がやわらかくなります。
発行元は、虫コミックス。購入した当時は、まだ1冊240円でした。
「フイチンさん」の方には、上田としこさんの略歴はもちろん、尾崎秀樹氏の解説も付いていて、子供心に、上田としこさんの漫画は、私の中で他の漫画本とは別格に位置付けられていました。
上田としこさんは、大正6年生まれ。
生後間もなくから小学校卒業まで中国のハルピンで育ち、帰国。
10代で漫画家を志し、高校卒業後すぐに松本かつじ氏に弟子入り。
その後、人体クロッキー研究所で6年間、スイス人より人体デッサンを2年間学ぶという修業時代を経て、満鉄ハルピン支局に入社。
2年後に満洲新聞社に移籍、そこで敗戦を迎え、1年間抑留生活の後、28歳で帰国。
30代でフイチンさん、ぼんこちゃんなどの名作を生み出し、各々を長期連載。
その後も、56歳から90歳で亡くなるまで、「アコばあちゃん」という漫画を連載し続けたという漫画家一筋の人生。
日本敗戦の混乱期、漫画の絵が周囲の人々を明るくする事、　喜ばれる事を実感したことを生涯忘れず、漫画を通して、人々に笑顔や明るさ、優しさを伝え続けた上田としこさんの作品から、励ましや、思いやり、すがすがしさ、ぬくもりといった、人生に大切なことを教えてもらった読者は数知れないと思います。
もちろん私も、その中の一人です。
生涯現役漫画家として、心に残るあたたかいマンガを描き続け、生きる意欲はもちろん、国境を超えて、互いに助けあいながら、みんなで成長していこうよというメッセージを読者に送り続けてくださった上田としこさんのご冥福を祈るとともに、心から感謝したいです。
今日は、恵みの雨降るザンジバルで、久々に、私の愛読漫画「フイチンさん」と「ぼんこちゃん」を読み返そうと思います。