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世界柔道選手権2010東京大会~日本100個めの金メダル~

横浜でのティンガティンガ展が終わり、ティンガティンガアーティスト、ムスターファを成田空港まで送った翌日より、世界柔道選手権2010東京大会で、国立代々木競技場に通っていました。

(ザンジバル(タンザニア)柔道連盟会長島岡強は、講道館の在外委員もしている関係から世界柔道選手権2010東京大会の役員にもなっているため、今回は、ザンジバル、タンザニア勢を引率してきてはいませんが、役員として参加していました。)
アフリカ柔道連盟の面々との懐かしい再会や、各国代表とのいろいろな情報交換をしたり、世界のトップ柔道家たちの熱戦に惹きこまれて、エキサイティングな日々でした。

大会3日目は、女子57kg松本薫3日目は、男子73kg級の秋元啓之選手、女子57kg松本薫選手、63kg級の上野順恵選手がそろって金メダルGET、会場が、沸きに沸きました。
どの選手もきりりと気合の入った表情でしたが、中でも会場の両端に設置された大型スクリーンに映し出された松本選手は、怖いぐらいの引き締まった表情で畳にあがっていました。そして、見事に優勝を飾り、しかも、この松本選手の金メダルが、世界柔道選手権、日本の金メダル通算100個目になったのだそうです。

また、この日は、松本選手のお誕生日。翌日のインタビューでは、
「自分で自分に最高のプレゼントをあげることになりました」と笑顔で語っていたのが印象的でしたが、本当に最高の誕生日プレゼントになったことでしょうね。
大会第4日めも、金メダル3個(男子66kg級 森下順平、女子48kg 浅見八瑠菜選手、 女子52kg級 西田優香選手)、銀メダル2、銅メダル1のメダルラッシュデーとなり、会場は最後の最後までエキサイティングなムードに包まれていました。

女子2階級は、決勝戦が日本人同士(浅見VS福見、西田VS中村)、どちらにも勝ってほしいし、どちらを応援していいのか迷っている間に熱戦が終わり、浅見選手と西田選手に軍配が上がりました。
大会最終日は、男女、無差別。エントリーも大変多く、男子は80名を越す選手の中から世界一決定戦が行われ、柔よく剛を制す、柔道の醍醐味あふれる一日となりました。
1日めにまさかの敗退を喫した鈴木啓二選手が最終日に気持ちを入れ替えての登場。順調に一本勝ちで勝ち上がる姿に、ぐっときて、心情的には、ぜひぜひ鈴木選手に優勝してもらいたい!と思いながら応援しました。

ザンジバル柔道連盟から、世界柔道選手権に初出場した2003年の大阪大会のときは、井上康生さんと鈴木啓二選手が大活躍していた時代でした。今大会では、その鈴木選手の後ろに、引退してコーチとなった井上康生さんがいるのを見て、時の流れを感じました。(鈴木選手は3位、銅メダルを獲得しました)
長身ですこぶる体のバランスがいいフランスのリネールと対戦して、粘りに粘って、延長戦の結果、優勝をもぎとった上川選手の決勝戦もはらはらどきどき。2:1の旗判定結果で上川選手の優勝が決まった瞬間、連勝記録がストップしたリネール(フランス)の礼を失した態度以外は、礼に始まり、礼に終わる立派な柔道を見ることができ、すがすがしい気持ちになりました。

アフリカ勢は、まだまだ参加することに意義があるという段階なので、1、2回戦敗退が多いのですが、ザンビア、南アフリカ、マダガスカルなど、馴染みのある選手が出場していると、心から応援する気持ちがわいてきます。
IJF(世界柔道連盟)会長ビザール氏とも、久々の再会。

   左:IJF会長ビザール氏  右:ザンジバル柔道連盟会長島岡強
ビザール氏と島岡は、まだ氏がIJF会長になる前、ダーバンで開催された南アフリカ国際大会で会ったときに、互いにつぶれるまで、ウォッカを飲み交わして以来の仲です。

会場には、IJFのマークをつけた巨大な真っ白い柔道着とともに、柔道の創始者嘉納治五郎師範が着ていた柔道着(レプリカ)とともに、柔道の歴史や教え、世界柔道選手権の流れもわかりやすく解説されていましたが、この質素で使い込まれた柔道着にこそ、柔道の原点があると感じました。

今回の参加数は、世界各国の柔道家800名を超えているとのこと、日本から発祥した柔道が、世界中に広まって、柔道大会も各国で運営されるようになって尚、日本の柔道や大会運営が手本とされ、52年ぶりに世界柔道選手権東京大会が開催されたというのは、意義深いことだなあと思いながら、国立代々木競技場第一体育館の中で、世界の柔道家たちが繰り広げる熱戦を見ながら、興奮の渦に巻き込まれていました。
     by島岡由美子

「世界柔道選手権2010東京大会~日本100個めの金メダル~」への6件のフィードバック

  1. はじめてコメントします。 僕も、今、代々木国立競技場に来ています。日本から始まった柔道が、世界中に広がって、こうしてまた日本の東京で、世界大会が開催されるのは、すごく意義があると思います。

  2. バラカさん、こんにちは。
    ティンガティンガ展の成功を心よりお喜び申し上げます。
    その熱が冷めぬまま、世界柔道選手権。
    お忙しい日々が続いてますね。本当にお疲れ様です。
    柔道は、カラー道着が採用されたりルールが
    変わってきて昔とは趣が異なっているという意見も
    あるようですが、やはり日本人にとっては国技と
    思っております。
    アマチュアリズムも徹底されてフェアなイメージが
    確立してます。
    今回の日本人の活躍は勇気を与えてくれます。
    頑張れッ! ニッポン!
    頑張れッ! ザンジバル!!

  3. baraka_tanzania

    ☆柔さん、ジャンボ!
    柔さんと、代々木体育館で同じ空間と雰囲気を教諭していたんですね!
    最終日、無差別級も、最後の最後まで盛り上がりましたね。
    そして、そういった試合のエキサイティングさだけではなく、世界の柔道が、柔道の原点を見つめる上で東京大会に戻ってきたというのは、柔さんのおっしゃるとおり、意義深いことだったと思います。

  4. baraka_tanzania

    ☆hamasamasaさん、ジャンボ!
    ティンガティンガ展へのご声援、ご来場、誠にありがとうございました。
    そして、柔道への熱いエールもありがとうございます。
    本当に、今回の日本選手の活躍ぶりは、爽快感と活力を人に与えてくれましたね。
    >頑張れッ! ザンジバル!!
     ↓
    ザンジバルに帰ったら、伝えます!

  5. つい先日、「わが志アフリカにあり」を読み終えたところです。柔道には全く関心がなかった私ですが、ザンジバルで柔道を教え広めるための島岡さんご夫妻のご苦労がしのばれ、またそれを支える皆さんの姿に本当に感動しました。ザンジバルをはじめとするタンザニアの、またアフリカ全土の柔道家たちの今後の健闘を心からお祈りしたいと思います。

  6. baraka_tanzania

    Miyukiさん、ジャンボ!
    拙著を読んでくださったのですね。
    ザンジバル、タンザニア、アフリカ柔道へのご声援も、ありがとうございます。
    私たちは、いつでも現在進行形ですので、これからも各方面、マイペースで、前向きに活動していきたいと思っています。

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