多賀城市の老人ホームにて～ティンガティンガと本の寄贈と交流会

ジャンボ！（こんにちは）
私たちは、バラカ主催ティンガティンガ原画展2012秋、札幌展終了の翌日から、仙台入りしています。台風の影響もなく、予定通り飛行機が出てよかったです。
10月3日、多賀城市にある老人ホームを訪問し、ティンガティンガアートと民話本の寄贈＆交流会をしてきました。

今回訪問した恵愛ホームは、リハビリを必要とするお年寄りの方々約100名が職員さんといっしょに大きな家族のように過ごしておられるそうです。
昨年3月に起きた東日本大震災による津波の被害も大きかった地域で、幸い施設内に水は入らなかったものの駐車場まで水が来て、周りの車はすべて流され水が引いてからも道路には流されて動かなくなった車やものがあふれ、とても通れる状態ではなく、近くにあるコンビナートは燃え続け、不安な日々が続き、1週間以上職員さんと一緒に全員で2階に避難して籠城生活をされたそうです。

この道路に車やモノが重なり合って流されてきたなんて・・・。
文字通り生死を共にして強いきずなができている恵愛ホームは、中に入った瞬間からアットホームなWelcomeムードが漂い、なんだか始めてきた気がしない、ほっとする空間でした。

大変怖くてつらい思いをされたことへのお見舞いと共に、タンザニアのティンガティンガアートという明るいを絵を見て、楽しい気持ちになってくださいという思いでタンザニアから来たことを話しました。

振り袖姿がお似合いの職員さんによる除幕式。

布が下りたとたんに、「ほ～！」というお声と共に、大きな拍手が！

ティンガティンガアートや作品の説明をした後、アブダラ自身が絵を持って、会場をゆっくり回りました。

絵に顔を寄せながら、「上手、上手！」「立派な絵だなあ」「きれいだねえ」「ありがとうね」・・・たくさん声をかけてくださいました。

いろいろな質問も出ました。
日本の食べ物では、何が好きですか？→「日本のジャガイモバターが好きです」
タンザニアで好きな食べ物は何ですか？→「とうもろこしの粉で練った主食のウガリが好きです」
阿部ドクターからは、「タンザニアにも老人介護やホームや老人の保険などは整っていますか？」という質問が出て、島岡会長が答えました。

「タンザニアには、老人ホームという施設自体がほとんどありません。ザンジバルでも１つだけありますが、設備はとてもひどいです。老人の介護や病気への保険もありません。家族がすべて負担します、だから、病気になってもなかなか病院にも行けません」
しみじみとした雰囲気でうなずきながら聞いていてくださった様子が印象的でした。
最後に、恵愛ホームさんが用意してくださっていたサプライズは、日本文化の代表の一つ、茶道の披露。本格的な茶席を用意してお抹茶をたててくださいました。アブダラは、興味津々でじっと見つめていましたよ。
お菓子には、中秋の名月と兎の形のお干菓子。御茶碗も、アブダラには富士山、私には紅葉と季節感たっぷりで、四季の自然を愛でながら生き、客人を一期一会の気持ちで精一杯もてなす日本人の心をアブダラに伝えてくださいました。ところで、島岡会長に出された御茶碗は、・・・「ろくに茶碗の絵なんか見なかったのでわからないよ。なんだかきんきらだったぞ。それより干菓子が甘かった」とのことでした。

たしかに、金銀のきらきらした御茶碗だったようですね（笑）
流れるような動作で点ててくださったお抹茶は、美しくきめこまやかに泡立っており、本当においしかったです。

初めてのお抹茶、ごくごく飲みました！

きれいな御茶碗だな～。
アブダラにもお抹茶体験させてくださいました。
茶せんを縦にふることがなかなかできないで、ぐるぐるまわしてしまうので、なかなか泡が立ちません、「あれっなんか、さっきいただいたお茶と違うな」という表情で、茶せんを回し続けるアブダラでした（笑）

アブダラの御点前姿、いかがでしょうか。

アブダラの点てたお茶を飲んでくださったおばあさまの感想は、「生まれて初めてアフリカの人が点ててくれたお茶をいただきました。とってもおいしかったです。アサンテサーナ☆」
きっとアブダラは、タンザニアに帰って、大勢に、恵愛ホームでのお抹茶体験を話すことでしょう。日タン交流にぴったりの素敵なサプライズプレゼント、ありがとうございました。

皆さまと一緒に写した記念撮影、アブダラにも渡しますね。
最後まで拍手で送りだしてくださった恵愛ホームの皆様、

「アサンテ・サーナ」（ありがとうございました）
着物を着た若い職員さんたちに、おばあ様方が、襟元は・・したほうがいい、帯はこう・・とたくさんのアドバイスをされているほほえましい場面もあるなど、アットホームな雰囲気がとても心地よく、アブダラも平均年齢85歳という大勢のワゼー（お年寄りの方々）に絵を喜んでいただけたのがとてもうれしかったようです。
これから寒くなりますが、皆さまお体に気をつけてお過ごしください。どうぞお元気で。
ところで、恵愛ホームの事務長さんに、「多賀城市の名産はなんですか？」とおたずねしたとき、「ここは海苔の養殖が盛んで、美味しい海苔が自慢の土地だったのですが、津波で全部持っていかれました。本当に一瞬で根こそぎ持っていかれ、湊の景色が一変してしまったのです・・・」と話してくださいました。短い会話でしたが、景色が一変してしまうという出来事を、淡々と話してくださる姿が強く心に残りました。
そして、復興というのはすぐにはできるものではないことや、故郷の景色はかえらないこともわかったうえで、大きな災害を乗り越え、今生きていることを大切に、地元で明るく生きようと互いに確認し合って、一歩一歩復興を進めておられる姿勢を感じました。
私たちバラカも、昨年の春のティンガティンガ展から数えて、7会場での収益から被災地への義援金を続けていますが、被災地に初めて行って、地元の方々とお話しする中で、復興とは時間のかかるものであることを改めて知り、これからも被災地復興のお手伝いが少しでもできるように展示会からの義援金を継続していくことをあらためて心で確認して帰ってきました。
今回訪問した恵愛ホームとのご縁をつなげてくださったのは、ブログ仲間のおやびんさん。いいご縁に感謝しています。おやびんとは、数年にわたって楽しくコメントしあっているのですが、実はまだ一度もお会いしていないのです。それが自分でも信じられないほど、身近で親しい感じがしているおやびんには、仙台展開催が決まった瞬間にお伝えしました。お会いできる日が本当に楽しみです。
恵愛ホームから仙台に帰ってすぐLBギャラリーに直行し、絵の展示を開始しました。
LBギャラリーは、晩翠堂のすぐ隣、外からでも中が見える、広くて素敵なギャラリーです。10月5日（金）から始まります。お気軽にお立ち寄りください。
by島岡由美子
☆後日談
寄贈した絵は玄関すぐの場所に飾って皆さんで楽しんでくださっているとのこと。
また、普段はほとんど喜怒哀楽を表現されない認知症のおばあさまが、長い間じっと絵を見て、にこにこっと笑って、職員さんに向かって「きれいだね」「いい絵だね」と話されたそうです。
明るい色調の動物いっぱいのティンガティンガアート、老人ホームの皆さん、この絵を見て、楽しみ、元気を出してくださいと、アブダラが心を込めて描いた絵にまつわるほのぼのエピソード、早速アブダラにも伝えました。
「お年寄りに喜んでいただけて嬉しいです。お年寄りは、人生の大先輩。いろいろ若い人では知らないことを知っているし、誰でもみんなワゼー（お年寄り）になることを教えてくれます。僕たちティンガティンガアーティストの中でも、アモンデ長老を筆頭に、長年ティンガティンガアートをけん引してきてくれた古参アーティストたちを大事にしています」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
●バラカ主催ティンガティンガ原画展2012秋～第1回仙台展●
■日　時：10/5（金）～10/14（日）　会期中無休
　　　　　　11:00～19:00　（最終日は17:00まで）
▼会　場：LBギャラリー
　　　　　　 仙台市青葉区大町1-2-1　ライオンビル
　　　　　　 TEL 090-5845-6813　（会期中のみ通話可）
　　　　　　 http://www5e.biglobe.ne.jp/~lionblgd/index6.htm
▼交通アクセス：JR「仙台駅」徒歩15分
　　　　　　 　　　　地下鉄「広瀬通駅」西3番出口徒歩9分
　　　　　　 　　　　市営バス「晩翠草堂前」徒歩1分

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・