人生には、悲しいことがあればうれしいこともおこるもの。
アモンデさんの訃報が入って悲しみ深かった2015年2月には、第9回東アフリカ柔道選手権大会が、キリマンジャロの麓の町モシで開催され、ザンジバルナショナルチーム最年少のアブドルラッビルが66㎏級で、そして、大ベテランのアブドルラハマンが100㎏超級で、それぞれ優勝し、金メダルを獲得するといううれしい出来事もありました。
100㎏超級表彰式、この階級は、ザンジバルが金と銅をとりました。
男子は金2 銀1 銅3で総合では準優勝、女子は2名参加で2人とも銀メダルをGETしました。
幻の9連覇
実は、本当なら、100㎏以下級の金もザンジバルで、総合優勝だったのですが、これがまたアフリカ的にも、談合でザンジバルの100㎏の勝利が揉み消され、わけのわからないうちに金が銅になるという不可解な結果が出され、一時は大会が中断されて騒然となる場面も。
しかし、ザンジバルを引きずりおろしたい審判団と東アフリカ執行部によって、100㎏9連覇を狙っていたマスーディに銅メダルという結果が下されてしまい、その結果、チームとしての男子総合も優勝ではなく準優勝になってしまいました。
(順位が談合で決まること自体が大変おかしいのですが・・・それが堂々と起きてしまうのがアフリカ社会なのです)
100㎏級マスーディ、タンザニア本土選手に抑え込み一本勝ち!
『アブドルラッビル、おめでとう!』
ちなみに、66㎏優勝のアブドルラッビルは、9歳から、兄のアブドルサマッドの影響で入門してきた選手で、なかなか体重も増えず、力もついてこず、いつまでも子供っぽい顔と体でへなへなしていたのですが、いつのまにか筋肉もしっかりついて、柔道家らしく首も太くなってきたころから、めきめき頭角を表してきました。
今大会は、兄のアブドルサマッドの気合の入れ方(バチバチと自分の顔や頭を音が出るほどたたいて、雄たけびを上げる)を真似して、思いっきり顔を叩き、うぉ~!!っと大声で気合を入れてから畳へ。
終始鋭い目つきで、若さみなぎる試合展開の中、見事なオール一本勝ちで念願の初優勝を飾りました。
表彰式では、違った意味で若さはじけるいい笑顔を見せ、金メダルをアピール☆表彰台のそばで見守るモハメッドコーチも、本当にうれしそうでした。
66kg級アブドルラッビル、モハメッドコーチと
アブドルラッビルは、アブドルサマッド、マンザブの2人の兄とともに、兄弟3人で、66㎏、73㎏、81㎏と、それぞれの階級の代表となって大会に挑み、一番下のアブドルラッビルが金メダルという快挙。
アブドルサマッドは銀メダル2回はとっているものの、まだ一度も優勝はしておらず、マンサブも東アフリカ大会ではまだメダルGETならずの中、一番下の弟ラッビルが初優勝を飾り、兄たちよりも先に金メダルを胸にすることになりました。
『第2、第3のアブドルラッビル誕生を期待して』
ある時を境に、突然急成長する子どもたちの姿を見るたびに、子どものもつ可能性は本当にすばらしいなと感じます。
アブドルラッビルは、ナショナルチーム最年少なので、ザンジバルの柔道少年たちのあこがれの存在です。そのラッビルが2年目のトライで、東アフリカ大会の金メダルを持ち帰ったので、さらにこのアブドルラッビルを目標にがんばる子たちが増えることに期待しています。
島岡由美子