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~2冊の本に励まされながら~Two Books encouraged me.

台風お見舞い申し上げます。
日本中に、季節はずれにもかかわらず、大きな台風が吹き荒れ被害も出たと聞いております。被害のあった地域の復興と皆様のご無事を心よりお祈りします。
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日本は、芸術の秋、スポーツの秋、そして、読書の秋、みなさんは、最近どんな本を読んでおられますか?
私は、かつおきんや先生の最新作「先人群像七話~三百年前の金沢で」と、
太田朋子さんの初著「飯田線ものがたり 川村カネトが敷いたレールに乗って」
を読みました。

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かつお先生は、私に民話の掘り起こしの楽しみと意義を教えてくださった大学の恩師で、多くの本を書いておられる児童文学作家。
かつお先生が民話を志されたのは、民衆の声から史実を掘り起こし、大切なことを後世に伝えていくためとおっしゃっていました。
90歳になられた今も、故郷金沢の古書から当時の民衆の声を聞きながら、現代の言葉で読みやすいお話にしておられ、これが最新作です。
金沢の昔に生きた人々が、すぐ身近にいるかのように感じました。
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実は、太田朋子さんも、大学1つ後輩で、同じゼミでいっしょに学んだ仲間です。
太田さんは、飯田線が開通した80周年という記念すべき年に、当時誰もできなかった天竜川沿いの険しい地帯の測量をし、線路工事にも貢献したアイヌの川村カネト氏の偉業を後世に伝えたいという思いで本にされました。
JR飯田線は、94駅・総延長約200キロ、愛知・静岡・長野の三県にまたがり、険しい山岳地帯を貫く路線です。
カネトさんを主人公にした「カネト、アイヌの魂」という児童書は読んだことがありましたが、さらにカネトさんと飯田線の関わりのエピソードを掘り起こし、その間の史実を深くとらえる一方で、飯田線の風景や駅ごとのエピソードも楽しめる本というのは初めてなのではないでしょうか。
後半は、共著の神川靖子さんによって、飯田線の駅や各地の様子が細やかに愛情たっぷりで書かれています。
ここでは、地元で生まれ育った神川さんの楽しいガイダンスで、飯田線を旅しているような気持ちになりました。
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また、表紙をはじめ、すばらしい飯田線の風景写真の多くは、同じく大学後輩のカメラウーマン、さとうあつこさん撮影。

表紙からして、一体本人のさとうさんは、いったいどこから撮ったのっていう感じで撮影エピソードも聞きたくなりますよね。
★さとうあつこさんには、拙著「続 我が志アフリカにあり」の中に掲載した写真(名古屋でのティンガティンガ原画展の集合写真)も撮影していただいています。
 
飯田線にまつわる史実、駅ごとのエピソード、写真と三拍子揃ったおすすめ本です。
新聞でも大きく取り扱われ、話題の本になっていたようですので、ご覧になった方々も多いかもしれないですが、私からもおすすめします。

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ところで、この2冊を読んだのが、ちょうど「アフリカの民話集 しあわせのなる木」の解説箇所を、少々書きあぐねているときでした。
大学恩師と後輩の、力のこもったすばらしい御本を読んで、私も大いに励まされ、そこから一気に書き上げることができました。
かつお先生のご本は、別途三冊取り寄せて拝読していたのですが、何十年も前の本とは思えないほど、今の自分とマッチして感動。しかも、ザンジバルの水事情や、井戸掘りの民話とも通じるものがあり、どんぴしゃのタイミングで日本の水事情や井戸掘りのお話とめぐりあい、とても感動しました。
「アフリカの民話集」の解説でも、タンザニアの水事情の箇所で、かつお先生の本から得たことを少々加えさせていただきました。

かつお先生は、大学に勤められる前は、中学の先生をしておられました。ご自分の教師時代の教育実践の内容も含みながらの内容は、大学教授としてしか知らないかつお先生の新しい面を見せていただいたような気がしました。
特に、「井戸掘吉左衛門」は、まさに、生きた授業、子どもたちに自発性をもたせながら地元金沢の歴史を紐解いていく、かつお先生自らの実践授業の様子が、1つのお話になっているので、現代の教育実践の場でもすぐに使えるエピソードが満載です。
ぜひ教育の携わる方々や親御さんたちにも読んでいただきたいです。
1980年代の本ですが、かつお先生は、数々の児童書の賞を受賞されている作家でもあられるので、きっと多くの図書館にあるとおもいます。ぜひ問合せてみてください。
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さて、「アフリカの民話集 しあわせのなる木」の発刊日も日も近づいてきました。

私も、この本が、子どももおとなも楽しみながら、民話を通してアフリカという異文化の扉を開け、アフリカ理解につながる、そんな本になりますようにと願いを込めて、全力で書きました。
9人のアーティストたちによるティンガティンガ・アートの挿絵も本当にすばらしいです。
ぜひ手にとって読んでいただけたらうれしいです。  
アフリカの民話集が11月に未来社から発刊されて、ザンジバルに届いたら(日本→ザンジバルの郵送・・・それがまた時間かかるんですよね)この2冊と一緒に並べて記念写真を撮りたいと思っています。
その日が待ち遠しい~!・・・というのが今の私のいつわらざる心境です★
        島岡由美子
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『アフリカの民話集 しあわせのなる木』
文 島岡由美子 
絵 ヤフィドゥ・マカカと8人のティンガティンガ・アーティストたち
出版日 2017年11月21日
出版元 未来社
定価:本体2,000円+税
版型:四六判並製  222ページ
ISBN:978-4-624-61042-5 
   *ISBNは、書店、図書館など全国共通の図書コード
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挿絵画家の紹介も含めた、発刊のお知らせ記事は、こちらです。
この記事では、9人のうち、3人(ヤフィドゥさん、ムブカさん、チャリンダさん)を写真と民話集の挿絵にまつわるエピソードつきで紹介しています。
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アマゾンやバラカのセレクトショップをはじめネット上はもちろん、全国の書店で予約受付始まっています。
図書館でも、ぜひリクエストしてください。

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