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日本で一番古いアイヌ文化資料館~カネトアイヌ記念館~ティンガティンガの寄贈と交流2015秋

ジャンボ!サル年[[pict:monkey]]2016も、1月後半となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
赤道直下とはいえ、南半球に属するタンザニアは、今から3月ぐらいまでが一番暑い季節。
ティンガティンガ村でも、暑い中、GW~5月に開催するバラカ主催ティンガティンガ展@横浜&名古屋の作品が進行中です。
ところで、バラカでは、各地で展開しているティンガティンガ原画展にあわせて、絵やアフリカの民話本の寄贈などで、交流の機会を設けています。
昨年秋の札幌展の際も、3か所訪問して、ティンガティンガアートで、国際交流の種をまきました。
この便りでは、アイヌ記念館訪問の様子をお伝えします。

川村カネトアイヌ記念館@旭川(日本で一番古いアイヌ文化資料館)】
ムワメディ氏が、渾身の力を込めて描いたアイヌ文様とティンガティンガの融合作品と、アフリカの民話本を寄贈しました。

記念館の展示物や写真などには、寒い北海道で、自然に抗わず、自然と共存しながら生きてきたアイヌの人々の知恵と文化がたくさん詰まっていて、1つ1つ、館長さん、副館長さんに説明していただくことで、そのことがよりよくわかりました。

(館長の川村憲一さんと、副館長の久恵さん)
一番びっくりしたのが、鮭の皮を使った靴です。魚の皮だから、パリッと破れてしまうのではないかな?と思ったのですが、動物の油を塗ることで長持ちするそうです。
それにしても、薄い靴で雪の中を歩くのは寒かったのでは?の質問にも、当時のアイヌの人々は、自然と共存し、食べ物も、大地の恵みから薬草や栄養の採れる植物をよく知っていたので、病気知らずで、体も強く、寒さにも順応していたそうです。

また、アイヌの人々にも、文字にのこすのではなく、人から人へ物語る伝承文化が存在していたことも教えていただきました。記念館に行く前に、アイヌに伝わる神話、民話を読んでいたのですが、その世界感に惹かれ、私が長年掘り起こしをしているアフリカ民話との共通項も感じました。
【アイヌの丸木舟とザンジバルの帆船】
一本の丸太をくりぬいたカヌーのような舟。

とても長いのに、まったくの丸木船で安定板も、帆もありません、ザンジバルで漁船を持つ島岡会長が、この舟を操るには、よほどバランス力がないとできないなと言ったことから、館長さんと舟談義になり、ザンジバルにも、丸木舟はありますが、横に板を通して安定板をつけていたり、小さな帆を張って、風を利用することも伝えました。

寄贈式に立ち会ってくださった石川次郎さん@士別と。

バラカジャパン安斎(右端)も、熱心に展示物を見ながら、「僕もカネト氏の本を読んだので、アイヌ記念館に来られて、感慨深かったです」と言っていました。
【飯田線@愛知・静岡にまつわる鉄道グッズ】
愛知県の三河地方の南に位置する豊橋から、静岡までを結ぶ飯田線のプレートや、カネト氏が使った速力機器の数々。
「カネト~炎のアイヌ魂」を読んでいたので、これを見ることができて、感激しました!

カネトさんの写真があるこの展示室でも、記念写真、パチリ!

この日のことが、北海道新聞に掲載されました。

(クリックすると、大きくなります)
【ムックリの音色】
そして、副館長の久恵さんに、ムックリの演奏を聴かせていただきました。

初めて聴くムックリの音色、思わず目をつぶって、じっくり、しみじみした気持ちで拝聴しました。微妙な響きによる調べがとても美しかったです。
思わず目をつぶって、本「カネト~炎のアイヌ魂」に書かれていた場面を思いだしながら聴きほれました。
 
本の中でも、何度か、ムックリの音色に癒され、故郷旭川の様子を思い浮かべながら、自らを奮い立たせて、工事を進めて行ったカネト氏の様子が書かれていました。

飯田線測量のための山中で、カネトさんは、時々このムックリの音色を聴きながら、故郷旭川のことをたくさん思いだしておられたのでしょうね。
そんなことを思いながら聴いていたせいでしょうか、ムックリの音からも、メロディも、哀愁という言葉が浮かんできました。
本を読んだ時から、ムックリの音色をぜひ聴いてみたかったので、すばらしい生演奏を聴かせていただけて、とてもうれしかったです。
【ムックリに、初挑戦】
その後で、ムックリを実際に手に取って、実演する機会を設けていただき、みんなでやってみました。
ムックリは、竹製。
竹とんぼのハネの中央部分に、切れ込みが入っているような本体に、ひもがついたような感じでした。
これを片手でしっかりにぎって、その手を頬につけ、ムックリの本体部分を、口にくわえます。ひもをひっぱることで、共鳴して音が出ます。ムックリをくわえた口をすぼめたり、ひらいたりすることや、ひものひっぱりかたなどで、音の強弱やびよんびょうんびょ~~んというビブラートのような微妙な音や、音の高低(音階??)が出るようです。
ムワメディ氏も、初のムックリに挑戦。

悪戦苦闘のムワメディ氏。
「音を出すこともできないよ、見た目よりずっと難しいね」
・・・そして、最後は、ムックリのひもをひっぱりすぎて、バキッと割ってしまいました!!!
まさに、手作り楽器の原点のようなシンプルな形、でも、その分、音のレパートリーを増やして、曲を奏でるようになるには、かなりの技術が必要なのでは?と感じました。
ちなみに、私もやってみましたが、びよん、ぼよよ~~んといった、子どもがゴムひもひっぱって音を出して喜ぶ程度のことしかできなかったので、よけいそう思いました。
またいつか、すてきなムックリ演奏を聴いてみたいです。
(楽器に関しては、他力本願の私です)
【美しいアイヌ文様】
生活に溶け込んでいるアイヌ文様の数々、「本当に美しいですね」とムワメディも感嘆していました。

帰り際、アイヌ文様がほどこされたベルトを、プレセントしてくださったのですが、ムワメディ氏は、早速この模様を自分の絵に取り入れ、ライブペイントで、素晴らしい作品を披露しました。

【来年100周年を迎える、日本最古のアイヌ文化資料館】
この川村カネトアイヌ記念館は、日本で最初にできたアイヌ文化資料館で、来年が創立100周年だそうです。創立者は、カネトさんのお父様、アイヌ民差別のまっただ中の時代に、アイヌ民の暮らしぶりや文化を知ってもらうことから、互いの理解の一歩になればということで、大正5年(1916年)に、このアイヌ文化資料館を私費で公開したそうです。
そして、今もその思いと共に、三代目館長の川村憲一氏が継続する資料館のHPのTOPページには、「アイヌとして生きる喜びを伝えたい」と書かれています。
【愛知の市民合唱団による、カネト合唱劇】
川村カネトさんについて、本以外にも、合唱劇「カネト」があります。
飯田線の最初の駅である豊橋@愛知の市民合唱団によって、「すべてのひとびとがさまざまな違いを認め合い、ともに生きる社会」という思いを込めて、2000年から上演され続けていて、カネトさんの故郷旭川でも、愛知と旭川の市民合唱団のコラボで合唱劇が上演された年もあったそうです。
一人のまっすぐな生き方が、人々の心を打ち、その人が亡き後も、人となりが、長く語り継がれ、本が読み継がれ、合唱劇として歌い継がれているのだなと、感動しています。
みなさんも、機会かあったら、ぜひ「カネト~炎のアイヌ魂」や、合唱劇「カネト」をご覧になってください。
そして、北海道旅行で旭川を訪れる際は、川村カネトアイヌ記念館にも足をのばしてみてくださいね。そして、アイヌ文化の展示の数々に交じって、ムワメディが心を込めて描いたティンガティンガとアイヌ文様の融合作品も見てきてください。
【違いを大切にしながら、共に歩もう】
国際交流の第一歩は、「お互いを知ること」そして、「違いを大切にしながら、共に歩もう」という姿勢が大切だと思います。
お互いのことを知るためには、もちろん、人と会う!のが一番ですが、その国や地域、民族の歴史や文化を知るのも、理解につながる近道の1つですね。
バラカのティンガティンガアートが、国際理解&交流の種となり、各所でティンガティンガに気づいて足を止めた方々に、笑顔という花が咲いたら、バラカ一同、こんなにうれしいことはありません。
                         島岡由美子
恵庭幼稚園、札幌時計台への寄贈の様子は、別の便りで書きました。
文中に出てくる本については、下記の便りで紹介しています。
【カネト~炎のアイヌ魂】を読んで、タンザン鉄道を思う

[[pict:meromero2]]バラカ主催ティンガティンガ・アート原画展@横浜&名古屋、2016年も開催します!
GW~5月は、名古屋&横浜でお会いしましょう!
[[pict:niko]]☆名古屋展は、今年から会場がかわります☆
[[pict:lion]]
第7回横浜展
▼期間::2016年4月29日(金)~5月8日(日)(10日間連日開催・休廊なし)
▼会場:ギャルリーパリ@日本大通り
    横浜市中区日本大通14 KN日本大通ビル(旧横浜三井物産ビル)1F TEL:045-664-3917
▼交通アクセス:
 JR根岸線「関内」駅南口下車、徒歩5分、
 横浜市営地下鉄「関内」駅下車、徒歩5分、
 みなとみらい線「日本大通り」駅3番出口すぐ

[[pict:elephant]]第9回名古屋展
☆今年から、会場が変わります!
2016年5月13日(金)~5月22日(日)(10日間連日開催・休廊なし)
◆場所:【妙香園画廊 4F&6F】
名古屋市中区栄3丁目14-14
TEL:(052)241-1533
FAX:(052)241-6228
交通アクセス 最寄駅:栄、矢場町
★妙香園画廊は、名古屋の中心・栄の大津通にあり、松坂屋・パルコ・ナディアパークが立ち 並ぶ場所に位置しています。
★1階は、お茶の妙香園栄店の販売所で、上の階が、妙香園画廊スペースになっています。
お茶屋さん入ってすぐのところにあるエレベーターをご利用ください。

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