ジャンボ!12月に入りましたが、いかがお過ごしでしょうか。
私たちは、予定通り、バラカ主催秋のティンガティンガ展~福岡・札幌を終えて、11月後半に、ザンジバルに帰ってきました。雨季で高温多湿の中、朝から汗が噴き出す日々ですが、元気です!
さて今日は、久々に、アフリカの民話をご紹介します。
今回は、犬と猫のお話です。
「ザマニザカレ(むかしむかし)、ザンジバルでは、ネコと犬は大の仲良しでした。
ある日、ネコが犬にこう言いました。
「ねえ、犬さん、いつも同じ顔じゃつまらないから、今日は顔を取替えっこしようよ」
「うん、いいよ」
犬は、せっかくなら一番上等の顔を貸してやろうと思い、顔を洗い、歯を磨き、毛を念入りにとかして一番おしゃれな顔にしてネコに貸しました。
ネコは、どうせ犬に貸すのだからと思い、毛もとかさず、ご飯を食べた後の歯磨きもせず、一番汚くて一番間抜け面にして犬に貸しました。
家に帰って鏡を見たネコは、おしゃれな顔に大満足。
シャナリシャナリと歩いてみたり、前足で顔をなでてみたりしては自分の姿にうっとり。
一方、犬の方は、鏡に映った間抜け面に呆然。
毛はぼさぼさ、食べかすが口の周りにつき、口はだらしなく半開きになって舌がべろんとたれています。その上、寝起きに大あくびをしたような間抜け面だからたまりません。
「バウバウ、ちきしょう、ネコのやつ、俺をばかにしやがって」
そう吠えると、犬は一目散にネコの家に走って行きました。
よだれをたらし、ハアハアいいながら間抜け面で、犬がネコの家に着いたときには、中はすっかりもぬけの殻でした。賢いネコは、犬が来る前にさっさと荷物をまとめて、人間のところに逃げ込んだのです。
犬の悔しがること、悔しがること。
犬は、そのときのことを思い出すと夜も眠れなくて、毎晩毎晩オゥーン、オゥーンと夜空に向かってはなき続けました。
だから、今でも犬はネコを見つけると、バウバウ怒って追っかけるのです。
そして、ネコは、生まれながらにおしゃれで、きりっとしているけれど、犬はどこまでも間抜け面なのですよ。
今日の話は、これで、おしまい。
気に入ったら持っていきな。
いらなきゃ海に捨てとくれ」
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猫好きにはよくても、犬好きにはちょっと納得いかないお話だと思いますが、ザンジバルはモスレムの島、イスラム教では、犬はどこでもにおいをかぐので、犬の鼻はとても汚いとされており、犬に鼻をつけられると、7回洗わないといけないという教えがあるほど。なので、ザンジバルではペットとして犬を飼っている人はほとんどおらず、犬の姿はほとんど見ないのです。
今まで、日本に送ったザンジバルの柔道選手達の日本での大きな驚きの1つが、「日本にはたくさんの犬がいること」でした。
犬に多くの種類があることも知らずに日本に行った面々は、犬を見るたびに、こう聞きました。
「あの動物は何?」
「あれも、犬。これも、犬。それも犬。」
「えぇっ?あれも、これも、それも犬???」
(ダックスフンドを見て、これも犬なの?と、大笑いしていたアリ・ジュマ選手のこと、なつかしいです)
そんなザンジバルの人にとって、日本で犬に服を着せて、子供のように抱っこして歩いている姿も、かなり強烈だったようですよ。
動物に対する印象も、子供のころからの教えで、ずいぶん違うものですね。
そして、そんな土壌を知ると、こういうお話が生まれたことにも納得がいくのではないでしょうか。
それにしても、犬と猫の顔の取り替えっこという発想は、かなり奇抜。
話し方によっては、怖い話にもなりそうですね。
皆さんの感想は、いかがでしょうか?
by島岡由美子