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発電機を寄贈~ティンガティンガ展2015春の収益の中から

ジャンボ!7月も目前ですが、いかがお過ごしでしょうか。
私の方は、タンザニア便りを書くのは久しぶりになってしまいましたが、バラカ主催ティンガティンガ展2015春@横浜・名古屋・三河安城展&山形友好協会主催の山形展終了後、タンザニアに帰国してからも、元気にしています。
『発電機を寄贈~ティンガティンガ展2015春の収益の中から』
今回のティンガティンガ展の収益の中からは、東日本大震災の義捐金と共に、ティンガティンガ村(工房)には、発電機を寄贈しました。
今年もバラカ主催のティンガティンガ展は無事盛況に終了したことと、今年の代表アーティストとして、アブダラが、日本で素晴らしいライブペイントを披露したことを伝えた後、前々から依頼されていた、発電機を今年のプレゼントにすることを発表して、贈呈式をしました。

タンザニアは、断水と共に、停電も多いです。
ティンガティンガ村(工房)も例外ではありません。
停電になると、昼間でも(特に午後から)工房の中が暗くなってしまうので、暑いし暗くて作品がよく見えないということでせっかくお客さんが来ていても、帰ってしまうし、とくに夕方からはろうそくや携帯電話の光の下で絵を描かなくてはいけなかったのですが、発電機があれば、停電の時も電気や扇風機をつけることができるようになります。
ちょうど発電機をプレゼントした日も、朝からずっと停電だったので、発電機をのスィッチをONにし、アート工房の中に電気が点いて明るくなった時は、おお~っという声と一緒に、拍手がおこり、アサンテ サーナ、イナサイディア サーナ(ありがとう。本当に助かります)という言葉が、たくさん聞かれました。

実は、この発電機の設置については、ティンガティンガ工房の方から、サポートしてほしいと頼まれていたものでした。
これからは、停電になっても、仕事が続けられると喜ばれています。きっと、さらにいい絵を描いてくれるでしょう。

展示会にご来場のみなさま、いろいろな形で応援してくださった皆々様に、ご報告とともに、アーティストたちからのアサンテサーナ(ありがとうございました)の声をお伝えします。
『絵本しんぞうとひげを、挿絵を描いてくれたチャリンダさんに』
発電機を寄贈した日に、4月にポプラ社から出版した、アフリカの民話絵本「しんぞうとひげ」を、たのしく不思議なムードの挿絵を描いてくれたチャリンダさんに手渡してきました。
ちょうどこのときも、チャリンダさんは、ふだんどおり、ペンキだらけの服で、楽しそうに絵を描いていました。絵本を渡すと、ぐふぐふと笑いながら、ページを大事そうにめくって、とても喜んでくれました。
その様子を見て、本当に、チャリンダさんと一緒に絵本を出版することができて、よかったなと思いました。

ちなみに、私は、前々から、チャリンダさんは、天才アーティスト!と思っています。「これでいいのだ!」という雰囲気を醸し出しながら、ペンキだらけの服で、楽しそうに絵を描いている姿は、実にかっこいいんですよ。
この絵本を手に取って下さった方々からの感想が寄せられていますが、その中には、身近なお子さんへ読み聞かせという形で伝えてくださっているというお声も届きはじめています。
私がザンジバルのおばあちゃんから、耳で聞いたアフリカの民話を、チャリンダさんの挿絵で絵本にしました。読み手の方の声といっしょに、アフリカの民話が、日本の子どもたちの心に残っていくといいなと思っています。
なにはともあれ、チャリンダさんだけでなく、他のアーティストたちも、一緒に絵本の完成を喜んでくれたのがうれしかったです。
『しんぞうと、ひげが、水だけ飲んで眠るシーン』
6月に、ケニア在住で、「旅のゆびさし会話帳 ケニア スワヒリ語編」でおなじみの、宮城裕見子さんが、「しんぞうとひげ」を素敵な記事で紹介してくださいました。→こちらです。
宮城さんは、心臓や、髭が、水だけ飲んで眠る夜のシーンが、とても印象的だったそうです。この世界観は、まさに、チャリンダさんならではだと思います。髭は、タンザニアの人にとって、すごく大切な「ジャンボ!」のあいさつもしない、不届きで乱暴者のキャラクターですが、この挿絵があることで、なんとなく、髭もひょっとすると、飢えてさえいなければ、本当は、いいやつなのかななんて感じさせてくれますからね。
『シャターニの生る木』
ところで、絵本の本文の後に解説ページが設けてあり、そこにチャリンダさんが、髭の挿絵を描いている写真があります。その写真の背景に写りこんでいる不思議なシャターニ作品も、読者の目をくぎ付けにしているようですよ。
日本での展示会の最中に、何度も、「あれは、なんなんですか?」「どういう意味がある絵なんですか?」とよく質問を受けました。

実は、この絵は、「シャターニ(精霊)の生る木」という民話が、ベースになっているんですよ。本当に、タンザニアには、面白い独特の世界観の民話が多いです。そして、チャリンダさんの挿絵を見ると、民話がさらにいきいきとした印象になって、私の胸に飛び込んでくるから不思議です。これこそが、天才チャリンダ画伯のなす技なのでしょうか。
              by 島岡由美子

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