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「絵っ?でみることわざ・慣用句」と、ドリアン 

とっても面白い本に出あいました。
その名も、
「絵っ?でみることわざ・慣用句
~ミッチーの日本語・英語でことばあそび~」
はせ みつこ著 ・イラスト中畝 治子

その書名どおり、日本のことわざ、慣用句が、絵と日本語と英語とでわかるようになっています。
表紙を開くと、しょっぱなに、
「開いた口がふさがらない」
I Can’t close my mouth
という日本語&英語とともに、ドクターが、開いた口がふさがらなくなったワニを診療しているイラストが出てきて、「何これ?」となり、次のページを開くと、
「あまりにも驚き、あぜんとするようす。」
Used to describe when someone is so surprised or shocked
という意味とともに、子どもたちが泥だらけになって驚くみっちー(キャラクター)の姿のイラストがあって、納得 というスタイル。
このように、1ページ目に慣用句の直訳とイラスト
次のページで、解説とそれにあったイラストがあるというスタイルで、78ものことわざ慣用句が紹介されています。
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正直言って、最初は、・・・びっくりしました(笑)
そして、この本の意図することと、スタイルがわかると、面白くてどんどんページをめくりたくなり、一気に最終ページまでいってしまいました!
でも、よく考えたら、私自身、まだ日本語がよくわからない小さな子ども時代に、
「あごがはずれる」
なんて聞いたら、文字通りのイメージで「えっ大変、あごがはずれちゃんなんて!!!」
と思って、まさかそれが「おかしくて大笑いすること」だなんて思ってもみなかったことでしょう。
「足が棒になる」
の意味が、
「長く立っていたり、歩き続けたりして、足が非常に疲れること」
だと知ったのは、何歳だったでしょう?
「絵にかいたもち」
の意味が、
「絵にかいたもちが食べられないように、実際には何の役にも立たないもののたとえ」
だと知ったとき、子ども時代の私は、すぐに納得できたのかな?
なんて、まだ「小さくて言葉を知り始めた頃の自分」をイメージしてみたら、1つ1つの言葉との出会いのときは、まさに1ページ目に出てくる直訳のイメージが頭に浮かんだろうことが想像されました。
そして、それは日本の子どもだけではなく、日本語を学ぼうとする外国の人々にとっても、まったく同じ驚きがあるのではと思います。
「しっぽをまく」
と書かれていたら、
Roll up one’s tail 尻尾を巻く と思うことでしょう。
それが、実は、
「勝てそうにないと逃げてしまうこと」
To run way from a fight or unwinnable situation
の意味だと知ったとき、目が点になってしまうのではないでしょうか?
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「尻に火がつく」を直訳したら
Have a fire lit in one’s behind
で大やけどするシーンが浮かんでしまいますが、
実は、
「ものごとが差し迫っていて、のんびりとはしていられない状態のこと」
To be in hurry
だと想像することできるのかな?
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国際理解に大切なのは、相手への思いやり、相手の人(地域、国)の立場になって想像する、イメージするということがとっても大切だと思います。
そのうえで、共感したり、異文化体験での驚き、時には理解できないことだってあることでしょう。
そうした違和感を補ってくれる1つが言葉。
たとえば、
「週末は骨休みでもしてください」
っていわれたときに、相手が
「骨休めをする=Rest one’s bones]って受け取ったら???になってしまうけれど、
「週末はゆっくり休んでくださいね」の意味だとわかったら、納得できることでしょう。
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別れ際に、「あなたの来日を、首を長くして待っていますよ」
っていわれたときに、「Stretch one’s neck」と考えて、ろくろ首のようなのを想像するのと、「私のことを待ち望んでくれているのね」と理解できるのではまったく意思の疎通が違ってくることでしょう。
なので、この本を手にしたとき、日本語を学んで、ある程度日本語ができるようになった方々にぴったりだなって感じました。
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☆楽しいイラストも、大きな魅力☆
どのイラストもとってもかわいくて面白いのですが、私が一番好きな見開きは、ここ。

耐えられないほど、くさいこと
に、ドリアンのイラストが!
ちょうど今、ザンジバルでもドリアンの季節で、市場にも、路上のあちこちでもドリアンが売られていて、あの臭いがぷんぷんしています。

(男性が手で持っているほうは、ココナッツ(椰子の実)イガイガのほうが、ドリアン)
近所でドリアン食べていると、すぐにわかるほど強烈なにおいを放つドリアンですが、私も最初は、「なんじゃ これ~!!」となって、だめでした。
でも何か月か後に、もう一度食べてみたら、それほどだめじゃなくって、果物というより、濃厚なチーズケーキみたいだなって感じてからは、苦手じゃなくなりました。

とはいえ、とげとげで持ちにくいし、割りにくいので、買ってまで食べたいとは思いませんが、毎年の風物詩で、ああ、ドリアンのシーズンが来たなって感じています。

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話がそれましたが、ドリアンのイラストのページの慣用句は、「鼻が曲がる」でした。

(手前のイガイガのがドリアン 向こう側は、パイナップル)
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その隣のページは
「鼻にかける」
でゾウの鼻に、お猿さんが洗濯物を干しているイラストがとってもかわいいのです。

もちろん、この意味は、次のページでわかるのですが、「自慢すること」
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私たち大人が日常で使っている、ことざわや慣用句、実は日本語独特で、小さな子どもや、外国から日本に来た人たちには、???となるものが多いって、あらためてこの本を読んで想像できたことでした。
それにしても、直訳するとぎょっとなる言葉も多いですね。
これは、直訳した内容を頭に浮かべている人と、内容がわかって話している人とは意思の疎通ができないでしょう(笑)
「馬の耳に念仏」
「あごがはずれる」
「のどから手が出る」
「頭が切れる」
「猫の手もかりたい」
「ひざが笑う」
「へそを曲げる」
「腕がなる」
「たぬき寝入り」

・・・
いやあ、日本語ってほんとうにおもしろいですね。
でもその分、学ぶ立場の人には難しいのかも。
その意味では、相手の立場に立って物事を考える ということの大切さを、とっても感じた一冊でした。
お子さんや、日本語を学んでいる外国の方とも一緒に楽しめる本だと感じたので、タンザニア便りで紹介することにしました。
出版元は、絵本「どうぶつたちのじどうしゃレース」、中学生からの志本「アフリカから、あなたに伝えたいこと」と同じくかもがわ出版です。
「絵っ?で見ることわざ慣用句」を囲んで、パチリ。

私がアフリカで暮らし始めた当時、今のようにインターネットが普及していませんでしたから、一番恋しかったものは、日本語で書かれた本でした。
日本語の良さ、面白さ、楽しさ、美しさ、そして難しさも含めて、あらためて知ることができたのは、日本を離れて外国語の中で暮らすことになったからです。
なぜか、そんなことまで思い出させてくれた、「絵っ?で見ることわざ慣用句」との出会いに感謝しながら綴りました。
この本を読んで、ことわざ・慣用句って日本語の極みというか醍醐味かもという気までしてきました。
ぜひみんなで、日本語を愛し、楽しみましょう。
               島岡由美子
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書名 
「絵っ?で見ることわざ慣用句
~ミッチーの日本語・英語でことばあそび~」
はせ みつこ
中畝 治子
かもがわ出版
内容紹介
「開いた口がふさがらない」から「両手に花」まで78のことわざ・慣用句を、文字通りのナンセンスな絵で表現し、英語で示した?ページと、その意味・状況を絵と日本語・英語で説明する◎ページで構成。ことわざと英語を楽しくあそぶ本。
著者略歴
はせ みつこ(ハセミツコ hasemitsuko)
ことばパフォーマー。劇団四季、仮面座を経て、詩人の谷川俊太郎らと「ことばあそびの会」を設立。詩やことばを構成、演出、自ら演じることばパフォーマーとして公演、テレビ等で活躍。障害児教育とことばの探求を続ける。2012年に逝去
中畝 治子(ナカウネハルコ nakauneharuko)
画家。イラストレーター。立教女学院短期大学教授を経て、NPO法人レスパイト・ケアサービス「萌」代表理事。

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