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ザンジバル柔道杯2018と、ロシア人武道家ヴァディムさん

こんにちは。今週の初めは成人の日2019でしたね。お正月についで、華やかな日だったことと思います。
新成人のみなさま、ご家族のみなさま、おめでとうございます!
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さて、今日はスポーツの話題です。
昨年の話になってしまいましたが、2018年12月に開かれた、第16回ザンジバル武道館柔道大会の様子をお伝えします。

ザンジバル武道館杯は、年に一度の武道奨励賞がつく大会ということで定着しており、前身のドクターカップから数えると16回目になりました。
ヘビー級が少ないため、男子は、60kg、66kg、73kg、90kg、無差別の5カテゴリー。女子は総当たり戦でした。

ザンジバル(ウングジャ島、ペンバ島)から合わせて64人が集結し、熱い戦いが繰り広げられました。(ザンジバル本島40名、ペンバ島から24名)
9月の大会では、選手たちの減量の失敗が目立ちましたが、今大会では、きっちり体重調整もしながら、それぞれのカテゴリーに参加したので、どのカテゴリーもあまり番狂わせもなく、順当な結果が出ていました。
<男子60kg級>
 参加選手20人と一番多い階級でしたが、ジュニアも多い中、初段審査に受かって黒帯を巻いて自信を深めたムッサーが貫禄で勝ち上がり、堂々の一位。

二位は、9月の大会ではいいとこなしで、ペンバ選手に負けてメダルを取れずに終わったイブラヒムが気合の入った表情で勝ち上がり、準優勝、銀メダルを獲得しました。

<男子66kg級>
9月の対大会では減量に失敗したアブドルラッビルが、危なげなくオール一本勝ちで連続優勝。
ダルエスサラームの職業訓練校を終えてザンジバルに帰ってきた若武者アブドゥルシャクルが、憧れの先輩ラッビルに挑むため、1階級上げて決勝進出。
アブドぅルラッビルに全力で当たりましたが、力、スピード、テクニックすべての面で歯が立たず、技あり2本、あわせ一本負けを喫しました。

<男子73kg級>
ザンジバル柔道連盟の中では、初の大卒柔道家となったアブドルサマッド、社会人になってからは忙しくてなかなか大会に出場することができなくなっていましたが、今大会は久々に大会出場を表明して練習も時間を捻出してがんばっていました。
一方、2大会連続で減量を失敗して別の階級に出ていたハフィズゥが、今回は必死に減量に取り組んで体重測定をパスし、のびのびと戦いながら一本勝ちで決勝戦に勝ちあがり、アブドルサマッドとの対決となりました。
穏やか過ぎるほどおだやかに、淡々と自分の技をかけていくハフィズィが、最後に押さえ込んで一本勝ちをおさめ、久々に自分の階級である73KG級で金メダルを獲得しました。

<男子90kg級>
優勝候補筆頭だったバルクが、急遽仕事に呼び出されてしまい(警察のため、要人SPとして)決勝には、背負いのマンサブと、大外刈を得意とする超真面目人間のハミシィが順当に勝ち上がり、決勝で対峙しました。
マンサブの連続で来るしつこい背負いを何度も交わして会場を沸かせる中、最後は、ハミシィが得意の大外刈りで倒して一本勝ちをおさめました。
 この階級には、ペンバで最強といわれていて、ペンバ島民の期待を一身に背負ってやってきたジュマ・グワリがいたのですが、2回戦でハミシィがグワリに快勝。会場はどよめきに包まれました。このときの、ペンバチームの驚きとため息がすごかったです。
<男子無差別級>
ポストキボンゲの座を、8人で競いました。
タンザニア本土から唯一参加したメシャックも善戦しましたが、決勝には残れず、警察官のオスマンが初優勝を飾りました。
<女子無差別級>
重度の火傷から立ち直って、減量もして、すっかり自分らしさをとりもどしたラユーが久々に優勝。
女子では一番練習に来ていたサルマが決勝で負けてしまい、悔しそうでした。

<開会式&閉会式>
開会式はナショナルスポーツカウンシル書記長ハミシィ氏によるスピーチではじまり、閉会式は、ザンジバル教育文化観光スポーツ省の文化局長のドクター・オマリ氏よりスピーチをいただいて、しめくくりました。

終了後、若手選手たちから、ザンジバル柔道創世記時代からザンジバル柔道を担っている、サレヘ、キデーゲことアリジュマという先輩といっしょに写真をとってほしいとせがまれました。
若い選手たちも、先輩を見習って、生涯柔道家として、今後のザンジバル柔道を担っていってほしいです。

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<44歳のロシア人黒帯誕生~ヴァディムさん>
大会翌日におこなわれた昇段審査では、60kg級のイブラヒムが、4回目のトライで初段に合格。イブラヒムは、モハメッドナショナルコーチの次男。息子の初段合格に、モハメッドも急にお父さんの顔になってとてもうれしそうでした。

イブラヒムは、小学生から柔道を始め、みんなで育ててきた選手です。
黒帯を締めて、さらにがんばって、ザンジバル柔道を担う選手に育ってほしいです。
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そして、もう一人、ロシア人武道家ヴァディムさん44歳が、3回目のトライで、合格。
試合と形の試験の両方に合格して、念願の黒帯を授与され、ほんとうにうれしそうでした。

左から、ザンジバル柔道連盟副会長モハメッド、 ヴァディムさん、ザンジバル柔道連盟名誉会長島岡強

ヴァディムさんは、もともとロシアの空手家で、アフリカに武道を広めるという志をもってタンザニアに渡り、その後ザンジバルに居を構えて6年、武道家としてのキャリアをのばしたいということで柔道にも弟子入りして4年、20代の若者たちにまじって昇級試験を受け、茶帯をとり、そして、初段審査も3回でクリアするという努力家です。
ちなみに、フルネームは、ヴァディム・ドルミドントヴさん、(難しい発音で舌をかみそうです)ロシア語だと【Дормидонтов Вадим】だそうですが、読めません・・。
このヴァディムさんは、空手、合気道に続き、今回柔道でも黒帯を取得したのですが、「今後も、ますます武道家として精進していきます。アリガトーゴザイマシタ」と謙虚な態度。
今は、インターナショナルスクールで体操と武道を教えているそうです。
謙虚なロシア武道家のヴァディムさんによって、こどもたちも、武道といっしょに謙虚な心も学んでいるといいなと思います。

ペンバ島からも、合格者が出て、意気揚々とペンバに帰っていきました。
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これは、昨年12月の大会と初段審査の様子でしたが、2019年最初の試合は、3月の東アフリカ柔道選手権大会です。
今年も、柔道や野球など、私たちが現地で関わっているスポーツ話題も時々お伝えしていきます。
                    島岡由美子

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