『絵本のつぎに、なに読もう?』
「つぎによむの、どれにしよ?」の著者 越高綾乃さんの待望の第二弾が出版されると知って、すぐにアマゾンをぽちっ。
でも、タンザニアまでの郵送ができないので、(ウクライナ問題以来、タンザニアと日本の国際郵便もストップ)、日本に行っていたティンガティンガ・アーティストが帰ってくるまで、じっと我慢の日々を経て、やっとGET♡(ムワメディ、ありがと)
そして、「絵本のつぎに、なに読もう?」は、やっぱり、あたたかくて、かわいくて、すてきなエッセイ本でした!
紹介されている童話は、私の知らないお話のほうが多かったですけど、作者の越高さんの一話(一冊)ずつの思い出とともに、簡単な内容説明もされているので、どのエッセイも、楽しく読み進めることができました。
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『エルマーのぼうけん』のところでまず共感したのは、童話というか子供向けのお話出てくる、「ももいろのぼうつきキャンデー二ダース、わゴム一はこ・・・」といったように、何々がいくつ、何色の○○が何個・・・っていうように、とても具体的に羅列してある場面のこと。
1つ1つのモノを想像してわくわくして、そして、その1つ1つが物語の中で大切な場面にでてくるときの驚きとさらなるわくわく、そのうち、その羅列フレーズをそらんじてしまうくらい好きになってしまう・・・そんな記憶がよみがえります。
私、アフリカに来る前は幼稚園に勤めていたので、絵本ではなく童話の読み聞かせで、子どもたちが聞きながらわくわく感を募らせていく場面には何度も遭遇しましたが、中でも、この具体的なモノの羅列箇所、やたらもりあがるのが読み手としても面白かったのを覚えています。
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『ジェインのもうふ』では、そういえば、私自身も幼い時、やわらくなってぼろぼろになったタオルがお気に入りで持ち歩いていたなと、何十年も忘れていたことがよみがえってきました。
大好きだったぬいぐるみたちも含めて、いろいろと思い出してきて、懐かしい思い出の宝箱を開けたような気持になり、この本のおかげでたのしいひとときを過ごすことができました。
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『本と森の記念写真もステキでした!』
ところで、この本の扉を開けると、童話の本たちが、森の中で遊んでいるのです。こんな写真は初めてで、とってもステキでした。
今の私は植物にも興味津々なので、本文を読む前に、まず、この本と一緒に写っている花や植物を目をこらして、かなりの時間、見入ってしまいました。
切り株に、恐竜と座っている「エルマーのぼうけん」と、「ロボットカミィ」の写真が特に好き。
どの本も、森の中でリラックスした表情で映っていて、越高さんは本当にこの本たちと友達だったんだなって感じました。
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読んだことのない童話の中で、すごく興味をそそられたのが、「どろんここぶた」。
やわらか~いどろんこが大好きなこぶたのお話らしいのですが、越高さんの説明が面白くて、こぶたへの愛情があふれていて、「わ~、これ読んでみたい!」って思っちゃいました。
もう一冊は、『百まいのドレス』。
移民のワンダの夢と希望が詰まったドレスの絵にまつわるこの童話は、社会の不条理も含んで、少しさびしさがのこるお話なのだそうですが、子供向けの童話でも、結末を無理にハッピーエンドにしていないというのがいいなと思ったので、読んでみたくなりました。
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ところどころにちりばめられたイラストもレトロかわいく感じて、落ち着いた気持ちで読めたのもよかったです。
私は大人になった今でも、子供向けの本も大好きなので、あれもこれも自分で読みたい!と思ってしまうのですが、身近に小さなお子さんのいらっしゃる方々は、子どもに読ませたいな、読んであげたいなと思われることでしょう。
まさに、帯の言葉通り、「子どもと本をつなぐためのヒントが詰まった、ブックガイドにもなるエッセイ集」で、「つぎに読むの、どれにしよ?」とあわせておすすめです。
byバラカタンザニア 島岡由美子
越高綾乃著 かもがわ出版