『飯田線ものがたり』(2017年刊行)から始まった、お二人のさらなる飯田線の旅取材の第二弾『飯田線に魅せられて 線路は続くよどこまでも』が出たと知り、即ポチリ!
ちょうどザンジバルに来ることになっていた友人に持ってきてもらって、すぐにページをめくりました。(友人に感謝!)
ため息が出るほど美しい飯田線の風景に読みやすいエッセイ、鉄道にまつわるエピソードも満載で、鉄道ファンにはたまらない一冊になっているのではないでしょうか。私は鉄道ファンとまではいきませんが、電車の旅は大好きです。特に、車窓から見る風景と駅の様子が好き。
この本を読んで、いつか飯田線の列車の旅もしてみたいと思いました。飯田線は、愛知、長野、静岡を結ぶ長い長い鉄道、なんと路線は195㎞で、94駅もあるそうです。
行きたい駅はたくさんありますが、食いしん坊なので、若松園の黄色いゼリー(愛知の豊橋)、ななくぼ駅(長野)のおそばと、スィーツ(特にモンブラン!)にも興味津々ですし、上伊那地区(これも長野)の珍味ざざむしは、タンザニアのブコバ地方の珍味クンビクンビ(バッタの一種、から揚げにすると、エビのよう)と食べ比べてみたいなって思いながら読みました。
三河一宮駅近くの大いちょう、も自分の目で見てみたいし、満開の河津桜も見たいなあ。
執筆のきっかけは、「カネトー炎のアイヌ魂」
ところで、著者の太田朋子さんと神川靖子さんが、最初の一冊「飯田線ものがたり」をお書きになるきっかけが、児童書「カネトー炎のアイヌ魂」だったそうです。
昭和の初め、天竜川峡谷沿いの鉄道建設(それがこの飯田線)のため、北海道から勇敢なアイヌ測量隊がやってきました。その中心となったのが、川村カネトさんでした。アイヌの人々の知恵と勇気がなければ、この一帯の渓谷に鉄道を通すことはできなかったでしょう。
そのことを振り返りながらの取材を重ねてできたのが、最初の御本「飯田線ものがたり」で、それからさらに様々なご縁と情報がお二人の元に集まり、さらに深まった飯田線についての思いと発見を詰め込んだのが、この2冊目の本「飯田線に魅せられて」となったそうです。
お二人が今年行かれた、北海道旭川にあるカネト記念館には、私も10年ぐらい前に行き、カネトさんの息子さんが館長をされていましたが、その後亡くなられたと聞きました。その後お孫さんが記念館を継いでリニューアルされ、今も続いていると知ってうれしくなりました。
川村カネトアイヌ記念館@旭川は、日本で一番古いアイヌ文化資料館)で、飯田線の歴史とともに、アイヌ文化の展示の両方を知ることができる貴重な資料館です。北海道に行かれる際は、ぜひ足をのばしてください。
タンザニアの鉄道状況
ところで、日本の鉄道は、時間がきっちりしているところが外国から来た人たちから驚きと賞賛を浴びていますが、その真逆がタンザニアの鉄道です。
タンザニアからザンビアに行く国際列車では、1泊2日の予定が、エンジントラブルで、駅のないところに十時間ぐらい止まってしまって、結局2泊3日になってしまったけれど、それが逆に普通で、1泊2日で行けたらラッキーという感じです。
柔道チームとブルンジ遠征に行ったときも、ダルエスサラームからキゴマまで、ポレポレ、ガッタンゴットンと、50時間以上かけて電車で行きました。
というぐあいに、タンザニアの列車の旅は時間が読めないのが定番でしたが、今年2024年になって、ダルエスサラームから→ドドマまでを4時間半でつなぐ鉄道が開通。なんとほぼオンタイムで運行しているそうです。タンザニアでオンタイムの鉄道ができるなんてびっくりです!時代は変わるものですね。
飯田線に魅せられて
タイトルの通り、飯田線に魅せられた大勢の方々から寄せられた情報と、御自身で調べ、掘り起こしたさらなるエピソード、現代の旅の楽しみ的な面からも、カネトさんから始まる、深い歴史的な側面からも書かれていて、とても読みごたえがありました。
ぜひ多くの方々に手に取っていただきたい一冊です。
島岡由美子
飯田線に魅せられて: 線路(ものがたり)は続く、どこまでも
太田朋子 (著), 神川靖子 (著) 新評論 2,420円(税込み)
『飯田線ものがたり』についての便りは、→こちら
便り 【続 カネト~アイヌの魂 についての便りは、→こちら
便り 【カネト~炎のアイヌ魂】を読んで、タンザン鉄道を思う は、→こちら
便り カネトアイヌ記念館を訪れたとき(2015年)の便りは、→こちら