ジャンボ!お元気ですか?
札幌も寒くなってきましたが、昨日11月9日には、札幌からさらに北の旭川市を通り越して、士別市まで行ってきました。
目的は、士別中学校へのティンガティンガアート寄贈と交流会でした。
札幌からカムイ号に乗って、北海道電車の旅1時間20分。
旭川駅では、23年来の友人、士別中学の社会科教師、石川次郎さんが迎えに来てくださっており、旭川から約1時間のドライブ。
ぴっぷ、わっさむを通り抜けて、羊肉やアイスクリームのうまさで有名な士別市へ。
士別中学では、まず、1年生3クラスを対象に、タンザニアからやってきたティンガティンガアーティストのムブカ、島岡強、そして、私由美子の3人がばらばらに分かれて、各クラスに行って、約15分ずつお話をしたり、質問を受けたりして、15分後には3人が廊下に出て、またそれぞれが、別々のクラスに入って、そこでお話をするのを3回繰り返して各クラスの子たちと交流するというユニークな形式でした。
タンザニアに2回来たことのある石川先生所蔵のティンガティンガアートが職員室そばの廊下に飾られ、掲示板には、このような連絡事項が。
そして、1年生には島岡会長が出演した番組のビデオを見せておくなど、事前準備があってこそのプログラムだなと感じながら、1年生の教室に向かいました。
ムブカは、普段はスワヒリ語ですが、片言の英語なら話せるので、英語の先生が通訳についてくださいました。
「ムブカさんは、何歳ですか?」という質問に、「ちょうど今日、11月9日で37歳になりました」とこたえると、拍手が起こり、クラス全員で、ハッピーバースデーの歌をうたってくれたそうです。(この後、全校集会でも同じ質問があり、全校生徒さんによるハッピーバースデーの合唱もあって、ムブカはいたく感激していました)
島岡強会長へは、「どうしてひげをのばしているのですか?」「頭に巻いている布は何ですか?」といった定番の質問から、「チェゲバラを尊敬していますか?」といったことまで。
そして、「日本に帰りたいと思いませんか?」という質問に、「食える国に革命は必要ではないので、貧しく、食えない人たちが大勢いるアフリカの経済をなんとかしようとしているところです。だから、日本に帰ろうとか帰りたいとかはまったく思いません」
と即答したことに、生徒さんはとても驚いていたそうです。
士別中学校の社会科教師をしている旧友、石川次郎さんと~23年前に、ザンジバル@タンザニアでお会いして以来の友人です
私由美子には、タンザニアの料理や、生活の中での質問が多かったですが、なかには「どうして島岡さんと結婚したのですか?」という確信にせまる(?)質問もあって、少し驚きましたが、後から、島岡会長の方にも「どうして由美子さんと結婚したのですか?」という質問があったと聞いて、思春期の子たちの素朴な疑問というのがほほえまかったです。
そこからは、場所を講堂に移動して、全校集会の道徳の授業として、あらためて交流会と寄贈式を。
そこでは、島岡会長による話と、ムブカからのあいさつ。
島岡会長は、志を立ててそれに向かって生きることが人にとって一番大切であること。そして、その志に向かって生きる上で、周りから理解されないときがあっても、くじけずに自分の信念に沿って行動していくこと、その志が正しければ必ず道が拓けてくることを話しました。
次はムブカのあいさつ。この場では、ムブカは普段通りスワヒリ語で話し、私由美子が通訳しました。
「タンザニアには、日本の人たちはあまり知らないと思いますが、皆さんに自慢したいことがたくさんあります。
1つは、アフリカ最高峰のキリマンジャロ山がタンザニアにあること。
1つは、世界で一番野生の動物が多くいること。
そして、一番誇りに思うのは、タンザニア人は、平和を愛し、とてもフレンドリーな国民だということです」
と話しました。
そして、
「タンザニアは、日本によって、道路や橋を作ってもらったり、多くの援助をしてもらってきました。そんな日本に、今年の3月大地震と津波が起きて大変な状況になったことを知った時、アフリカ人として、タンザニア人として、そしてティンガティンガアーティストとして、自分たちには何ができるのかを考えました。
自分たちにできるのは、一生懸命絵を描いて、その絵を見た人に、明るい気持ちになっていただくことだということにいきつきました。
今日士別中学に寄贈する絵には、平和と家族愛というテーマをこめているので、単独の動物ではなく、親子連れの動物たちが登場しています」
と話してから、生徒会代表に手渡しました。
生徒全員でスワヒリ語であいさつを。そのあとは、生徒会長さんが、なんと全文スワヒリ語でお礼のスピーチをしてくれたので、ムブカもびっくり、そして、とても喜んでいました。
そういえば、1年生のクラス訪問の際も、「スワヒリ語をしゃべってみてください」と言われたので、短いスピーチをスワヒリ語でする一幕がありました。言葉の意味はわからなくても、スワヒリ語の音を楽しんでくれたようです。言葉は国際理解の入り口の一つでもあるので、スワヒリ語に関心を持つ子たちがいたのは、とても嬉しい出来事でした。
ムブカにもたくさん質問をうけて楽しく過ごして、士別中学校での交流会が終了しました。
士別市は、真冬の普通に寒い日でマイナス20度、とても寒い日にはマイナス30度まで下がる日もあるほど寒い土地とお聞きして、「びっくりしました。校長先生によると、シャボン玉を膨らませると、ストローから離れた瞬間にシャボン玉が凍って、すとんと下に落ちてしまうのだそうです。そこまでくると、私にとっては、想像しようとしても、想像がついていかない世界です。
暖房施設が今のように整っていなかった時代は、このあたりの学校では、マイナス20度を超えると、学校はお休みになったとか。
現在の校舎は、室内でも運動がたっぷりできるよう、体育館のほかにも、集会やスポーツのできる大きなスペースが作られており、もちろん、暖房完備に二重窓。なので、どんなに気温が下がっても、休校にはならないそうですが。
そんなお話を伺う中、ムブカは、特別支援学級の生徒さんが作ってくださったという日本の味「おでん」をごちそうになりました。ムブカは器用におはしを使ってぺろりと完食。「オデン、ムズリサーナ(おいしい)」とお気に入りのようでした。
帰り際、外で準備体操をしていた野球部の子たちが、ムブカを見つけたとたんに、みんなでダッシュして校門のところに並んで、「アサンテサーナ~(ありがとうございました)」と、いつまでも手を振ってくれました。
島岡会長は、野球部の子らに「しっかりがんばれよ!」と声をかけ、ムブカも、車の中から何度も後ろを振り返って、まだ手を振っていてくれると嬉しそうに言っていました。
その様子を見ていて、山と山は会えないけれど、人と人は会うことができるというスワヒリ語を連想しました。
タンザニアのキリマンジャロ山と、北海道の利尻山は会えないけれど、人と人は、国境を越えて会うことができ、話すことができ、わかりあうことができる、それは素敵なことで、人間に生まれた喜びですね。
アフリカのこと、タンザニアのこと、ザンジバルのこと。
志を立てて生きること。貧しい国に日本人としてできること。逆にアフリカの人から学ぶこと。
今日の出会いの中で、それぞれにあったポイントをキャッチしてくれたらうれしいなと思いながら、夕方5時旭川発のカムイ号に乗って、札幌に帰ってきました。
これは、1年生3クラス合同での記念写真です。
士別では、私たちも、雪国の中学生の生活を知ることができたのは、大きな出来事でした。
常夏の島ザンジバルに住む私には、想像を絶する寒さですが、極寒の士別の冬と、真夏のザンジバルでは、70度ぐらいの差がありますね。寒さに負けずに元気に、明るく、たくましく生きている士別中学の皆さんの将来が楽しみです。
士別中学校の皆さん、校長先生はじめ、諸先生方、そして、士別中学校とのご縁を結んでくださった石川次郎先生、どうもありがとうございました。
札幌にて 島岡由美子
[[pict:elephant]]いよいよ明日、11月11日より、ギャラリーエッセにて、初のティンガティンガ原画展開催です。ムブカも、早くライブで絵を描きたいとやる気満々です。
常時約150点のティンガティンガアートと、珍しいアフリカの布雑貨で、北海道の皆様を、明るく陽気なアフリカンムードでお迎えします。
ギャラリーエッセは、外からでも中の様子が見渡せます。どうぞお気軽にお立ち寄りください。