命の恩人ではなく、恩木という言葉があるなら、私のそれは、迷わず、この木ニームです。
ザンジバルでは、四十種類の病気に効くという意味の「ムアルバイネ」の木と呼ばれています。
ある年、ひどいマラリアに罹って、何種類も薬を投薬されても効かなくて、文字通り死にそうになったことがありました。
その時に私を助けてくれたのが、この二―ムなのです。
友人たちがたくさん葉っぱを持ってくれて、炭のにおいた大鍋でぐつぐつ煎じて、煮汁をのんだり、煎じるときに立ち上る蒸気を体にあてたりすることで、どの薬を使っても下がらなかった高熱が下がったのです。
ザンジバル武道館の周りにも数本生えています。
年中細長い葉っぱをたくさんつけて、いい木陰を作ってくれています。
薬木なので、なんだかこの木の下で風に吹かれているだけで、体にいいような気がします。
実際、さわやかな淡い香りがしてそれだけでもいい気持ちになります。
花は1つ1つが小さいので、よく見ないとわからないほどですけど、たくさん咲きます。
淡いクリーム色がいいですね。
ニームの実はオイルの原料。
形はオリーブに似ていますね。
伸びもいいので、時々枝を落とさないと、武道館の窓を破ってしまうほど元気な木。
樹木ががっしりして、枝も強いので、木登りにはもってこいみたいですよ。
サッカー観戦のときには、この木に登って、高見の見物を決め込む人たちも🌺
アラブの国々でも、このニームの木はおなじみです。痩せた乾燥地帯でも育つ強い木だからなのですが、逆に寒さには弱いらしいです。
暑いお国のインド医学として有名な自然療法「アーユルヴェーダ」の重要なハーブとしても、古くから親しまれているそうです。
カフェアフリカのコーヒー農家では、病害虫を防ぐためにニームオイルが使われますし、ザンジバルでは、ニーム石鹸、オイルなどの加工品も多く出回っているなど、ニームはここの生活の中にどっぷり入っています。
樹齢200年にもなり、25メートル級にまで育つそうですが、ザンジバルではそこまで高く育っているニームは見たことがないです。
生命力あふれる木で、用途もたくさんある木、アルバイネこと、ニームの木。
ニームの木を見ると、私の恩木さん、ありがとうね、という気持ちになります。
みなさんにとって、助けられたな~っていう思い出の木はおありでしょうか?
しまおかゆみこ