新刊紹介 【相撲の神様 大関大ノ里ものがたり】藤本 皓三著
今から130年も昔、努力を重ねて161㎝91㎏の小柄ながら相撲取りになり、24場所12年間も大関を務めた大ノ里の物語。
この本の主人公、大ノ里の郷里 青森県南津軽郡 藤崎町では、50年以上も「#大ノ里杯少年相撲大会」が開催されていたり、大ノ里石碑が建てられたりしていながらも、まとまった資料がなかったため、著者の藤本氏が、地元の子どもたち用にとまとめた小冊子を図書館に寄贈していたのが元となって、このたび全国の子どもたちに紹介できるような児童書として出版されるに至ったそうです。
このような時代を背負った児童書を通して、先人たちの生き方とその時代の暮らしや時代の流れを知ることは、子どもにも大人にもとても大切なことだと思いますし、藤本氏の丁寧な資料の掘り起こしによって、日本の激動の時代、明治大正昭和の時代背景もわかる本になっており、これは多くの方々に読んでいただきたいなと感じました。
****農村のこどもたち***
大ノ里は、貧しい農家出身ということで、少年時代から「朝は早くから仕事をし、田んぼ、はたけにやる肥料を天秤棒でかつぎ、リンゴの木の下の草とりや、家のまわりの掃除、さらにリンゴを入れる箱作り、冬は雪かきと雪下ろし・・・」と働きづめの日々だったという描写がありました。
タンザニアの農村では、今の時代でも、子どもたちが忙しく働いている姿が浮かびますが、日本の北国の雪に覆われた寒い寒い冬の時期の労働はないですね。
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著者の藤本 皓三さんは、大ノ里と同じ青森県藤崎町出身。
長く愛知にお住まいですが、故郷青森の子どもたちにグローバルな目をもってほしいと、ティンガティンガ・アートやアフリカの絵本や民話集などを、青森の小学校に寄贈されることなどを長年続けておられます。
そんな故郷思いの藤本さんが、丁寧に地元の資料を集め、紐解き、今こそ、100年以上昔に生きた大関大ノ里のことを、全国の子どもたちに伝えて、今の時代を生きる励みにしてほしいという熱い気持ちがこもった児童書です。
島岡由美子
【#相撲の神様 #大関大ノ里ものがたり】藤本 皓三著